複数の部門で得た
知識を生かし、
プロジェクトを
成功に導く

複数の部門で得た
知識を生かし、
プロジェクトを
成功に導く

SE職

棚橋 由美

2002年入社/理学部数学科卒。数学教師を目指すかたわら、就職活動で図研を知り入社。開発部門に配属され、品質保証の業務に携わる。その後SEに転属し、主に製品導入のプロジェクト運営を担当している。

  • 登場する社員は仮名表記です。

SEとして、プロジェクトの運営や全体管理の役割を担う棚橋由美。SEに転向する前は、開発部門で品質保証の業務に長年携わっていた。過去と現在のキャリアを掛け合わせ、棚橋が至った現在地とは。

初めてリーダーを経験して味わった、
プロジェクト運営の難しさと楽しさ

学生時代の棚橋は、数学教師を志していた。就職活動の時期には教職の採用試験を受けながら、並行してソフトウェア開発の企業もいくつか受けていたという。そのうちのひとつが、学科の同級生の勧めで受けた図研だった。

『面接の雰囲気がとても良かったし、働きやすい会社だと思う』と勧められたのです。結果的に図研に入社することになりましたが、先輩の指導はとても丁寧でしたし、若手にも責任ある仕事を任せてもらえたので、入社して良かったなと思いました

棚橋は開発部門に配属され、品質保証に関わる業務に携わった。図研製品の品質の高さを担保するための仕組みを作り、世界中のお客様からの評価に繋げる重要な仕事だ。

図研の品質保証業務には顧客向けのサポートも含まれている。入社3年目、棚橋は顧客向けセミナーのプロジェクトリーダーを任された。電子回路・プリント基板設計用CAD製品のバージョンアップに伴い、新機能や活用法を紹介するセミナーだった。

開催場所は本社に加え、国内各地の支社でも予定されていました。メンバーをアサインするところから始まり、集客方法やセミナー内容などを、アイデアを出し合いながら形にしていきました

営業部門へ集客の協力を依頼したり、問い合わせに備えて開発部門に支援を要請したり、社内の多くの部門とも調整が必要だった。上司や先輩の協力を得ながら、棚橋は初めてのプロジェクトリーダー業務に奔走した。

すべての拠点でのセミナーが無事終わり、お客様からは好評をいただけた。ほっと胸をなで下ろした棚橋だったが、改めてメンバーとプロジェクト全体を振り返ると、想像以上に課題が山積していたことに気付かされたという。

『役割分担が明確でなかった』『発表資料を作る時間が足りなかった』など、たくさんの意見が出てきたのです。反省するとともに、改めてメンバーの尽力があってこそ、無事に終えることができたのだと痛感しました

同時に、棚橋はプロジェクトで仕事をする面白さに目覚めていた。自ら企画を立てることも、メンバーたちと意見を出し合って形にしていくことも、初めての経験だったのだ。マネジメントの難しさと楽しさを、棚橋は同時に味わっていた。

プロジェクトの全体を俯瞰し、
枠組みを整え、推進する仕事

入社以来、品質保証に携わってきた棚橋は、2017年にSEに抜擢される。図研全体としてSE業務を強化する動きがあり、開発部門でプロジェクトを任されていた棚橋に白羽の矢が立ったのだ。

品質保証担当として社内に向けた仕事がメインだったので、SEとして社外のお客様を相手にすることに不安はありました。異動の打診を受けたときは悩みましたが、上司から『プロジェクト運営の知識や経験はSEでも役立つ』と背中を押され、やってみようと思えたのです

その約半年後、棚橋はある大手電機メーカーの大型プロジェクトにSEとして携わった。図研社内で6つのチームを編成し、構想設計や回路設計、基板設計といったお客様の設計プロセスを抜本的に見直す大規模プロジェクトだった。

プロジェクトでの棚橋の役割は、プロジェクト全体の意志決定や、管理業務を支援することだった。プロジェクトは各チームが主体となって進められるが、それぞれが計画を立ててバラバラに進行すれば、全体の進捗を把握することが難しくなってしまう。そこで棚橋は、プロジェクト運営の「ルール」を決めた。

作業工程を細かく分類して表にまとめたり、課題が発生した際のフローを明確にしたりなど、各チームリーダーと連携を図りながら運営方法を決めていきました。プロジェクトが円滑に進むよう、進捗の管理や図研社内の開発責任者クラスへの情報共有、お客様への進捗報告などにも取り組みました

進捗などの管理面は全体を見渡せるものの、図研で開発するそれぞれの機能同士の連携といった実装面においては、各チームに全体の流れを意識してもらう必要がある。ただ、開発チームはそれぞれの機能の開発に注力するため、巨大プロジェクトの全貌を把握することは難しく、処理の不整合が起こることもたびたびあった。

プロジェクトも中盤に差し掛かったころ、図研側の提案で「合宿」を実施した。不整合を解消するため、各チームの担当者やお客様側の関係者を一カ所に集め、1週間ほどかけてお客様の設計現場での実運用や機能のデータの流れをすべて洗い出し、共通のフォーマットで図式化することにしたのだ。

図式化のフォーマット作成や、図式化のためのツールの選定、参加者のスケジュール調整といった準備を整え、『合宿』の日を迎えました。『合宿』といっても実際に宿泊するわけではありませんが、会社の一室に缶詰になって徹底的な検討を行いました。どのデータがどのような形で引き継がれ、どこに格納されるのか、それまで暗黙の理解で行われていたものを明確化していきました

すべての運用の流れを図式化するうち、「そういえばこのデータは誰が担当するのか?」といった不明点がいくつも明らかになったという。「合宿」を終えるころには、全員の目の前にはプロジェクト全体を示す “地図”が描かれていた。

開発部門とSE部門の間に
立てる強みを活かして

棚橋はプロジェクト全体を管理する立場として、お客様側の課題にも向き合った。設計プロセスが全面的に刷新されるにあたり、実際に図研製品を使用するお客様側の設計者への、実運用に向けたサポートが必要になったのだ。

新たな設計環境で何ができるのか、そのイメージをあらかじめお客様に共有しておかないと、導入後に混乱を招きかねない。そこで棚橋が提案したのは、「体験コーナー」の設置だった。

お客様の設計室があるフロアの一角に、図研の製品がインストールされたPCを何台か持ち込んで、新たな設計プロセスを体験いただく環境を作りました。操作体験会を企画し、新たなツールの効果を体感していただいたのです。開発部門でセミナーを企画・運用していた経験が役に立ちました

準備期間やリリース後のサポートも含め、プロジェクトは足かけ4年にもわたった。その後も棚橋は、プロジェクトの支援を続けている。「過去の経験を生かせる、やりがいのある仕事」だと棚橋は話す。

図研では開発部門で長い時間を過ごしてきたので、開発プロセスや中間成果物がどのようなものかを把握しています。プロジェクトマネジメントをする立場として進捗管理を行ううえでも、『いま開発部門はどのような状況に置かれているか』が理解できる。開発部門とSE部門、双方の間に立てることが、自分の強みだと感じています

開発部門で体感したプロジェクトの難しさと面白さは、SEに転向してからも棚橋の中に息づいている。社内でも中堅のポジションとなった今、棚橋の目は後輩たちへと向けられていた。

大規模プロジェクトで得た手法や、開発部門で得た経験などを汎用化して、誰でも扱えるノウハウとして残していければと考えています。これからプロジェクトを担当することになるメンバーが活用できれば、図研の貴重な資産になるのではと思っています

プロジェクト全体を見渡す棚橋の視点は、今では会社の未来にも注がれているようだ。次世代を担う若手や後輩たちが、さらに図研を発展させていくことを願って。

Questions & Answers

入社前後で図研に対する印象は変わった?
入社前は、独り立ちするまでに2~3年かかるイメージがありましたが、入社後間もないうちからお客様サポートやプロジェクトを任せてもらえ、早くから経験を積める会社というイメージに変わりました。先輩にフォローしてもらいながら、自分で仕事を進めていく楽しさを実感できます。
図研の好きなところは?
SE業務だけではなく、「組織としての成長(業務の改革・改善)」や「メンバー全体のスキルアップ」にも力を入れているところ。組織として時間を確保し、継続的に取り組んでいます。
職場にはどんな同僚・先輩・上司が多い?
話しかけやすい雰囲気をもった人が多いです。対面でももちろんですが、リモートワークでも、チャットしたり通話したりとコミュニケーションをとりやすいです。
学生時代の経験が役に立っていることは?
塾講師や家庭教師のアルバイトをしていた経験が役に立ちました。順序だてて説明したり、伝わりやすい板書や資料の描き方を考えたりしたことです。
休日はどのように過ごしてる?
コロナ禍で自宅時間が多くなったことをきっかけに、中学校での部活動以来30年ぶりにトランペットを吹き始めました。吹き方は覚えていたものの、息が続かず・・・もっと体力作りが必要そうです。