技術者として一歩ずつ
成長を重ねながら
ユーザーに喜ばれる
機能を開発する

技術者として
一歩ずつ
成長を重ねながら
ユーザーに喜ばれる
機能を開発する

開発職

田口 佐奈

2016年入社/工学部電気電子工学科卒。開発職を志望し、入社後はプリント基板設計用CADシステムの開発部署に配属。図研の主力製品である『CR-8000 Design Force』において、配置配線グループで機能開発に携わる。

  • 登場する社員は仮名表記です。

プリント基板設計用CADシステムの開発に携わってきた田口佐奈。学生時代にプログラミング経験がほとんどなかったが、開発職としてのキャリアは、経験を積むごとに着実なものになっていった。現在の田口を形作ったターニングポイントとは。

入社2年目、
初めての顧客訪問で得た「実感」

図研に入社するまで、田口はプログラミングの経験がほとんどなかった。学生時代は半導体関連の研究室に所属しており、就職活動ではメーカーの開発職を志望。企業研究を進めるなか、目にとまったのが図研だった。

電子機器に搭載されるプリント基板は、半導体研究でも馴染みがあるものでした。説明会では幅広いメーカーと関われる仕事だと聞き、自分の視野を広げられるのではと興味をもったのです

入社後の配属は、プリント基板設計用CADシステム『CR-8000 Design Force』の開発部署。配置配線グループに所属し、基板上の部品配置や回路の配線を司る機能の開発を担うことになった。

入社2年目を過ぎたある日。田口は上司と共に、名古屋へ向かう新幹線に乗っていた。

次の製品アップデートで、田口が開発した新機能が実装される。その機能について、実際に顧客の声を聞くことになったのだ。開発担当の若手にも、ユーザーと直に接する機会を設けようという部の方針だった。

お客様を訪問するのは始めてのことで、それまで名刺交換すらしたことがありませんでした。当日は朝から緊張していて、行きの新幹線では何も喉を通りませんでしたね

田口が開発した機能は「シールドビア」に関するものだった。

プリント基板には複数の層を重ね合わせて構成されるものがあり、その層をまたいで電流を流すために、銅メッキを施した穴を貫通させる。これが「ビア」だ。

「シールドビア」とは、配線の周りへ等間隔にビアを打つ技法で、配線から出る電気的なノイズを軽減させる効果がある。それまでは、手作業でひとつひとつのビアの位置を設計せねばならず、作業に負荷がかかっていた。

そこで、選択した配線の周りに自動的にビアを打つ機能を開発しました。実際にDesign Forceを動かしながら、お客様に新機能を説明したところ、現場でCADを使用している設計者の方から『素晴らしい機能ですね』と褒めていただき、とても嬉しかったですね

説明が終わったあと、その設計者は実際に現場でCADを操作しながら「こういう機能があればもっと使いやすい」という要望を伝えてくれた。

それは田口にとって、開発に携わった機能が実際に使われている様子を、初めて目の当たりにした瞬間でもあった。

自分の仕事がちゃんとお客様の役に立てているのだと実感しました。設計者の方の要望をきちんと叶えたい、より便利な機能を提供したいと、その後のモチベーション向上につながった出来事です

自分の意見に自信を持つこと、
相手の意見を尊重すること

入社4年目、田口は図研社内に前例のない機能を開発することになる。

その機能を要望したのは、とある海外の大手電子機器メーカーだった。競合他社のCAD製品から図研製品への乗り換えを検討しているが、製品設計に必要な機能が図研側に不足しているという。お客様の課題解決のためには、要望された機能の追加は必須だった。

お客様の要望は、基板に穴を開けるドリルに関するもの。その設計技法は、現在の図研製品では想定されていないアプローチからなるものでした。そこで、まずはお客様が期待される機能のイメージを固めるところから始めました

顧客の要望を正しく把握しなければ、たどり着くべきゴールは決まらない。SE職に先方へのヒアリングを依頼したり、競合他社のCAD製品に関する資料をかき集めたりなど、調査は1ヶ月に及んだ。

新機能では、基板データに設定・入力したドリルの情報をもとに、作図を出力する機能が求められていました。そこで私たち配置配線グループと、作図出力を担う他部署のエンジニアが連携して開発を行うことになったのです

田口にとって、他部署のエンジニアと一緒に開発を進めるのは初めての経験だった。配置配線と作図出力のそれぞれで設計を進めていたが、課題となったのはデータの共有や連携の部分だった。

配置配線側から渡したいデータの形と、作図出力側が指定するデータの形が噛み合わなかったのです。データを更新するタイミングや、エラー時の挙動など、他にも認識を合わせなければいけないことが多く、調整には時間がかかりました

これまでは自部署内で完結する開発しか経験していなかったこともあり、他部署のやり方に違和感を覚える場面もあった。しかも相手はベテランのエンジニア。若手の自分が意見するのはおこがましいのではないか。田口は、同じチームの先輩に話を聞いてもらった。

先輩からは『それは田口個人の意見ではなく、チーム全体の意見として提案してもらって大丈夫だよ』と背中を押してもらえました。機能開発にはそれぞれの考え方があり、正解がひとつとは限らない、と。相手が培ってきた経験を踏まえつつ、最終的な落としどころを見つけていきました

開発に半年をかけてリリースした新機能は当初の要望を満たし、他社製品から図研製品への乗り換えも実現した。売上や多数の契約ライセンス獲得に貢献できた喜びに加え、田口にはある変化があったという。

以前は、社内で他部署の方と話すときは遠慮しがちでした。でも、このプロジェクトを通じて、仕事は自分ひとりで完結するものではないのだと学びましたし、社内のコミュニケーションにも積極的になれたと感じています

ひとつひとつの経験が、
自分を強くしてくれた

現在も田口は配置配線グループに所属し、回路図データを流用する機能の開発に携わっている。過去に設計した回路図から重複するデータを流用し、設計作業を効率化させる機能だ。

回路図データの流用機能は、以前よりユーザーからの要望を受けていたものだった。田口は要望を整理しながら、盛り込むべき機能を提案していったという。

お客様の要望をそのまま盛り込むのではなく、その機能を必要としている背景を理解することが大切です。根底にある課題を解決できれば、より多くのお客様に喜んでいただけるはず。自分が考えた機能がお客様に受け入れられたときは、本当に嬉しいですね

『CR-8000 Design Force』の開発には、プログラミングスキルだけでなく基板設計に伴う幅広い知識が必要となる。さらにAIなどの新技術や、設計技法自体の進化もあり、継続的に学習することも欠かせない。

以前は高コストを理由に避けられていた技法が、コストダウンによって広く使われるようになり、その技法に関する機能への問い合せが増えるといったことも起きています。お客様の実業務に即した機能を開発するためにも、ユーザーの声に耳を傾けるよう常に心がけています

入社8年目を過ぎ、田口は配置配線グループの中でも中堅の立場となった。上司や先輩に支えてもらってここまで来たが、これからは自分の番だと気を引き締める。

上司も先輩も、いつも私の考えを尊重してくれました。『こうしてみたい』と提案すれば、頭ごなしに意見を押し付けることなく、『それならこういう資料があるよ』とサポートしてくれた。その姿を見習って、後輩たちをきちんと見てあげたいなと思っています

ひとつひとつの経験が自信につながり、開発者としての自分を強くしてくれた。これからもお客様に喜ばれる製品を生み出すために、田口のまなざしは次世代の成長へと向けられている。

Questions & Answers

入社前後で図研に対する印象は変わった?
特に変わっていません。入社前のイメージどおり、積極的に新しい技術を取り入れている会社でした。
図研の好きなところは?
若手のうちから規模が大きい開発を割り当ててもらえるところです。早々に力がつくだけでなく、そのときに出した意見が実際に製品の機能として採用されることもあるので、達成感があります。
職場にはどんな同僚・先輩・上司が多い?
皆さん個性豊かですが、お客様に満足してもらえるような製品を作るために、技術のトレンドなどを積極的に勉強している方が多い印象です。
学生時代の経験が役に立っていることは?
学生時代に学んだ電気電子系の知識が、基板設計の技術を学ぶ際に役に立っています。
休日はどのように過ごしてる?
東京によくお笑いライブを見に行っています。また、夫の単身赴任先に会いにいくこともあります。