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図研ベテランSEによる知って得する機能解説
-ツール活用で、デザインレビューのあるべき姿を取り戻す!-
2010.12.16
デザインレビューとその問題点
<デザインレビューとは>
デザインレビュー・DR(設計審査)とは、検討した実現仕様や設計した成果物を、設計部門内や設計部門とほかの部門(製造部門、資材部門、品質保証部門、営業部門、サービス部門など)との間で必要に応じてそれぞれの立場から点検、評価し、意見を述べる会合です。JISやISO9000シリーズでも定義されています。
実施方法は、関係者が1カ所に集まって、設計した図面や試作品を見ながら検討するスタイルが一般的ですが、最近ではCADデータを見ながら行う方法もよく見られるようになってきています。
デザインレビューで評価する内容は、市場要求や過去トラブルの対策を設計対応できているかどうか、EMCや熱、感電防止のような規格、価格設定や部品材料の入手性、製造のしやすさなど、多岐にわたります。
デザインレビューで指摘された内容は、是正案を検討した後、関係者に提示して設計上の課題を残さないようにし、必ずクリアにします。つまり関係部署が納得できる状況にしないと、生産工程などの後流プロセスへ移行することが出来ないため、デザインレビューには組織的な関所としての役割を負わされています。ここが設計審査会といわれるゆえんですね。また、専門内容ごとにテーマを絞ったデザインレビューを実施しているケースがあります、たとえば「EMC-DR」はその代表例です。
<最近のデザインレビューが抱える問題点>
このように重要な責務を負うデザインレビューですが、最近の現場ではこの「品質のための関所」という本来の役割を担えなくなっているケースも見受けられます。「社内規定で決められた書類がそろっていることだけを確認し、品質に関する技術的な議論をしない形骸化した場になっている」とか、「出席すべきベテラン設計者が多忙で欠席したとしても強引に開催し、技術的な議論を省略して先に進めてしまう」など。これらは納期短縮の命題に端を発して、デザインレビューの目的を見失ってしまっているとも言えます。また、最近の電子機器の傾向として、電子回路が複雑かつ大規模になってきており、それに応じて検証や評価の数・規模が大きくなっていることが顕著です。そうした中で開発期間の短縮を進めるとなると、デザインレビューに時間がかかり過ぎてしまうことも無視出来ない問題となります。このような背景の中「品質を確保するために長い時間と人数をかけて評価・検証をなんとかやっている」とか、「数千のネットに対してレビューする場合、大量のチェックは実質困難なので、見落としもやむをえない」といった、あきらめムードの声も聞かれます。
このような問題をCR-5000の検証ツール群を活用することにより解消し、デザインレビューをもっと効率的かつ実効的なものにすることができるという話をここからさせていただきます。
問題点を解決できるCR-5000の検証ツール群
CR-5000の検証ツール群には、例えばサーキットアドバイザやEMCアドバイザ、ADMなどがあります。いずれも設計プロセスにおける特定の目的に応じた仕組みとなっています。
一部の機能の例として、上記で検証ツールとその目的を少し挙げてみました。評価のためのさまざまな検証内容に対応できていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。特に大量のチェックには、EDA活用が大きな効果を発揮します。これらの検証ツール群がどのような効果を発揮するかを、今回はEMCアドバイザを活用したデザインレビュー「EMC-DR」を題材に述べてみたいと思います。