ちょいモテ設計者への道

印刷用表示 | テキストサイズ 小 | 中 | 大 |


clubZ_info_renewal.jpg

| HOME | Club-Z劇場 | 新人岡田君のちょいモテ設計者への道 | 第8回 | P4 |

更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

Club-Z劇場

新人岡田君のちょいモテ設計者への道

【第8回】SIとは?② ~挙動不審!?~

2008.11.27

「という訳で、とりあえず今日はここまで。お疲れ様でした。」
「ありがとうございました!加瀬さんの講義のおかげで、だいぶプリント基板の振る舞いについて理解できるようになりました。これでもう、SI解析はバッチリですよ!」
「基本的なことはだいたい教えましたから、ほとんどのケースは大丈夫だと思います。ただ、実際に解析していくともっと複雑なことも出てくると思うので、その時は遠慮せず相談して下さいね。」
「はい!」

「バッチリ!なんて言っちゃって大丈夫~?岡田く~ん。」
ガサガサっと音がしたと思ったら、突然、篠原さんが現われた。
びっくりするオレ。そして、オレ以上にビックリして何故か顔を赤らめる加瀬さん。

「だ、大丈夫ですよ、多分。。。あっ!過去の製品の測定結果ってCAD管理にもありますか?ちょっとシミュレーションしてみて比較してみようかと思って。」
「へぇ~。なんかやる気じゃない。もちろんあるわよ! でもモデルや設定にも気を付けないと変な解析結果になるわよ。」

「あっ・・・」
突然モジモジしだす加瀬さん。あれ?あれれ?もしかして・・・

「あの・・・シミュレーション結果がおかしくて実測と合わない、というのはよく聞く話なのですが・・・その前に、実測の影響についてもよく把握しておいて欲しいんです。」
「えっ?どういうことですか?」
「よく引っかかるのが、半導体デバイス自体のバラツキです。IBISモデルでは typ/min/maxの特性が定義されていていますが、実際に使用しているデバイスがバラツキ全体のどのあたりに位置しているのかはロット等によっても変わってきます。」
「確かに同じクマのぬいぐるみでも、それぞれ微妙に表情が違ったりするわね。」と篠原さん。
「そうなんです、それと同じように同じデバイスでも実際の特性にはバラツキがあります。だから、そのことを理解した上で、実測結果を扱う必要があるんです。」
「なるほど~。さすが加瀬君! 説明が分かりやすいわね♪」
乗り出す篠原さん。更に真っ赤になる加瀬さん。

「そ、それから、もう一つ。測定ポイントの影響です。測定プローブの種類や測定の仕方は測定結果に大きく影響を及ぼします。GNDの取り方も重要です。それから当然のことなのですが、測定する位置によっても測定波形は異なってしまいます。場合によっては適切な位置に測定ポイントを準備する必要があります。」

あっ!と何か思い当たったような顔する篠原さん。

「そういえば、化粧品カウンターなんかでよくやる肌の水分チェック!あれ、絶対おかしいと思うのよね~。時間帯とか測る場所によって水分量微妙に変わるじゃない?気をつけてるのに水分不足なんておかしいし・・・(ブツブツ・・・)でも、あそこで結果が悪かったりするとついつい余計なもの買っちゃうのよね~。。。   つまりそういうことでしょ?加瀬君?」

「えっと・・・それはちょっと分かりませんが、、、でも、よっぽど同じ条件・環境でない限り、いつもぴったり同じ結果が出るってことはないですよね?そういうことなんです。設計者の皆さんにとっては、実測結果との比較はとても興味深いところだとは思うのですが、より正確な結果を得るためには、解析、実測共に、どのような条件における結果なのか、しっかりと把握しておくことが重要なんです。」

「なるほど~」
「なるほど~」

同時にうなるオレと篠原さん。
それを見て、笑う加瀬さん。少し落ち着いたようだが、かなり挙動がおかしかったなぁ・・・
もしかして・・・

彼のmin/maxを同時に見た一日だったなぁ・・・

 (次回へつづく)

mailicon_2.gif

SIEMC_bunner1.jpg
図研では、SI/EMCに関するさまざまなソリューションのご提供を行っています!
設計現場で困っている・・・、実践で使える教育が受けたい・・・等々、
SI/EMCについての悩みがありましたらまずは私達にご相談ください。

https://www.zuken.co.jp/si_emc/

●監修者プロフィール
岡本 彬良 (おかもと あきら)
1948年生まれ。 1969年、呉工業高等専門学校 電気工学科卒業。同年、松下電器産業㈱入社。 電気設計、機構設計、IC開発に従事。 1980年、コンピュータの判る設計者としてプリント基板CAD導入立上げに参画。以来、機構CAD・社内LAN・サーバ管理・LA・PDMと技術部門の情報システム全般に担当範囲を拡大。
2005年、同社を退職。
現在、岡本ESA事務所を開設し、プリント基板設計・技術情報システムの著述・コンサルタントとして活動中。エレクトロニクス実装学会会員。神奈川県 技術アドバイザー。
著書として、「よくわかる プリント基板回路のできるまで」「よくわかる プリント基板実装のできるまで」(ともに日刊工業新聞社)等がある。

【今回の記事はいかがでしたか?】

大変参考になった
参考になった
あまり参考にならなかった
参考にならなかった

今回の記事について詳細なご説明をご希望の方は、Club-Z編集局(clubZ_info@zuken.co.jp)までご連絡下さい。