ちょいモテ設計者への道

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

Club-Z劇場

新人岡田君のちょいモテ設計者への道

【第8回】SIとは?② ~挙動不審!?~

編集:Club-Z編集部
監修:岡本ESA 事務所/岡本 彬良

2008.11.27

―前回までのあらすじ―
それは突然起こったトラブルだった。メモリI/Fのスペックが引き上げられたのにも関わらず、設計ルールの変更が行われなかったため、ボードが動かなくなってしまったのだ。土田課長の的確な指示の元、幸いにも大事にはならずに済んだのだが・・・同じようなトラブルを引き起こさないため、岡田君はSIの特訓を受けることになった・・・


「あの・・・初めまして。回路設計部の岡田です。今日はSIについてレクチャーしていただける、ということでお話を伺いにきました。」

観葉植物の隙間から、そっと声をかける。
カタカタカタカタ、とキーボードを打つ音が止まる。

「あっ、、、初めまして。加瀬と申します。」
突然立ち上がり、オレに向かってお辞儀する加瀬さん。オレも慌ててお辞儀し返す。なんて丁寧な人なんだろう・・・そして、近くにあったイスを持ってきてオレに座るよう促す。

「あっ、、、ありがとうございます!!」
先輩にこんなことしてもらうなんて、、、なんだか申し訳ないな・・・

オレが座ったことを確認してから、自分の席につく加瀬さん。
なんだかここ、落ち着くなぁ・・・緑が多いからかなぁ?

「昨日は大変だったみたいですね。トラブルは解決したんですか?」
「はい!ソフト評価も予定通り進んでるみたいです。ほんと、一時はどうなるかと思いましたよ~。」
「それは良かったですね。」
「こんなこと言ったら土田さんや篠原さんに怒られそうですが・・・」
ちょっと小声になるオレ。
「昨日のトラブルでSIの重要性ってものが初めて分かりましたよ。今回のようなトラブルを出さずに品質の良い基板を作るためには、SIを意識した設計を実践することが重要なんだ、って土田さんに言われました。確かになぁ~って、昨日のことで実感しましたよ。徹夜はやっぱりツライっす。」

ふふっと、笑う加瀬さん。

「でも実は俺、SIは全くの初心者で。どこから手をつけていいのかさっぱり分からないんですよね。」
ちょっと申し訳なくなり、頭を掻く。

「それは仕方ないですよ。SIは少々専門的ですから。でも、岡田君のような回路設計者の人にはぜひ知っておいて欲しいことなんです。僕らSI解析専任者はあくまで回路設計者の皆さんのサポート役なので。」
「はい。土田課長にも言われました。」
苦笑するオレ。今さっき土田さんに怒られたばかりだ・・・

「なんだか余計なこと言っちゃったみたいですね。すみません。でも、それを理解していただけてるだけで、とても嬉しいです。では、そろそろ本題に入りましょうか。」
「はい、お願いします!」

「まず、基本として押さえて欲しいのは主に3つ。【分布定数】と【信号遅延】と【配線トポロジー】です。聞いたことはありますよね?」
「分布定数・・・なんだか聞いたことあるような、無いような・・・」
「そうですか・・・」
ちょっと驚く加瀬さん。

「ではまず、分布定数の考え方からレクチャーしていきましょうか。」