Club-Z劇場
新人岡田君のちょいモテ設計者への道
【第8回】SIとは?② ~挙動不審!?~
2008.11.27
「高速デジタル回路では、プリント基板上の配線パターンは分布定数として扱う必要があります。」
「えっと・・・それってどういうことですか?」
くるっとPCの方に向き直り、何やら検索し始める加瀬さん。そして、一枚の図を見せてくれた。
「これは、あるパターンに、いくつかの異なる周波数を印加した時の様子を図にしたものです。横軸が、パターンの長さに相当すると思って下さい。
そして、この紫色のラインを見て下さい。これは低い周波数の時のものですが、パターンの位置に対して電圧(電流)の大きさの差は僅かです。」
「確かにほとんどゼロの位置から変化していないですね。」
「一方、青色は高い周波数の時のものですが、こちらの電圧(電流)値は、パターンの位置で電圧(電流)の分布が大きく変化しています。」
「パターン上を大きく波打ってる感じですね。」
「そうですね。周波数が高くなると、線路をひとかたまりとして扱うことができなくなり、線路内の位置によって挙動が異なるもの、つまり分布定数回路として考える必要が出てくるんです。」
「あぁ、なるほど。そういうことですか・・・」
なんとなく分かってきたぞ・・・
「ところで、、、分布定数回路ってどんな回路なんですか?」
「分布定数回路というのは、配線パターンを、この図のように、微小なL、C、R、Gによる等価回路の集合として考えることができるもののことですね。」
そして、もう一枚の図を見せてくれた。
「そういうことか!普段回路図を見る時、単にデバイス同士がつながっているとしか意識してませんでしたけど、実際には、こんな微小な等価回路がいくつもつながっていたんですね。」
「そうなんです!この回路図に描かれていないLCRG成分を意識して欲しいんです。設計者の皆さんがそういう意識を持っていてくれたら、SIのトラブルはもっと減るはずなんです。」
ちょっと嬉しそうな加瀬さん。
「これからの講義、ちょっと長くなりますので、その前に少しコーヒーでも飲みに行きませんか?」
「いいですね!行きましょう!」