コラム
グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス
【第11回】リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成
株式会社RDPi 代表取締役 石橋 良造
2008.06.19
まず、リスク管理の仕組みを確認しておきましょう。リスク管理で重要なことは次の3つです(前回の図26を参照のこと)。
- リスクをリストアップし、その一つひとつに対して、リスクが顕在化する可能性、顕在化したときの影響度合いなどを分析して、リスクの重大性を評価する
- 個々のリスクに対して、顕在化しないための予防策と、顕在化した場合にその影響を軽減するための対応策を検討する
- リスクの状態を継続的に監視する
Aはリスクを洗い出し、その重大性を評価する作業です。プロジェクトに影響があるがコントロールが困難な事柄(リスク)をリストアップし、そのリスクの発生確率(発生頻度)と影響度を分析します。通常は、図28 のようなワークシートを使ってリスクごとに発生確率と影響度を数値に換算して総合評点を算出することにより、リスクの重大性を定量化します。重大なリスクほど重点的に管理する必要があります。
Bはリスクに対してとるべきアクションを計画する作業です。図29 に示したように、リスク発生を抑制するための事前対応策(予防策)と、リスクが顕在化した場合にその影響を軽減するための事後対応策(コンティンジェンシープラン)を明確にします。このように、必要なアクションを事前に計画しておくことが大切なのです。
Cはリスクの内容やその評価(発生確率、影響度)に変化がないかどうか、予防策の実施とその効果は適切かどうか、そして、リスクが顕在化していないかどうかなどを継続してトラッキングする作業です。定期的に開催する進捗会議の一部として実施するなど、トラッキング方法を具体化することが大切です。