Club-Zコラム第11回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第11回】リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2008.06.19

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●著書 : book1.JPG    book2.JPG


数回にわたって設計部門の仕組み構築というプロジェクト計画作成方法について解説し、前回は、具体的な実施スケジュール作成には政治的要因を考慮することが大切であることをお伝えしました。スケジュール通りにいかない大きな要因は、マネージャーの突然の異動、約束通りに納入されないソフトウェアなど、技術とは直接関係のない政治的な要因であることが多く、実績との乖離が小さい計画を作成するためには、この政治的要因を考慮することが重要であると説明しました。

「政治的要因」というのは、技術的検討や演繹的な作業のブレークダウンではなかなか表に出てこない要因であり、そのために、必要な作業として認識されなかったり、適切な時間軸が設定できなかったりと、想定外のことを引き起こす原因になりがちで、前回は、事前にリストアップするにはどういうことに気をつける必要があるのかを紹介しました。

「政治的」という言葉を使っているのは、プロジェクト側ではなかなかコントロールすることができない要因だからです。だからこそ、想定外のことを引き起こすことになりがちなのですが、仕組み構築に限らず製品開発においても、自分たちでコントロールすることができない要因に対して思考停止状態になってしまうことは多いものです。当然、コントロールが難しいから考慮することを止めて良いことにはなりませんが、自分の専門である技術的なことや、自分の担当する作業だけで頭が一杯になってしまい、自分でコントロールできないものについては考えることや行動することが後回しになってしまいがちです。

このような思考停止状態を避けるために実施するのがリスク管理です。今回は、リスク管理について概要を説明し、リスクによってプロジェクトの進め方を整理し、シナリオとして具体化する方法について解説します。