SIシミュレーションナレッジ
コラム3<V/I特性と波形の関係>
2009.04.23
IBISモデルの中には、1つのIBISモデルで複数のバッファモデルが記述されている場合もあります。
以下は1つの例ですが、プログラマブルICでは回路の安定動作を目的として出力電流を切り替える機能が搭載されています。このような場合、IBISモデルでは下図のように出力電流の異なる複数のバッファモデルが記述されています。
バッファは印可される電圧によって電流値が変化しますが、その特性はV/Iカーブと呼ばれ、IBISモデルでは[Pullup](立上り特性)、[Pulldown](立下り特性)、[Power Clamp](保護ダイオード)、[GND Clamp](保護ダイオード特性)に記述されています。
下図は、各バッファのV/Iカーブです。4mAのバッファモデル < 6mAのバッファモデル < 10mAのバッファモデル というように、電流の大きさに差異があることが確認できます。
V/Iカーブの差異は、波形結果に大きな影響があります。
各々のバッファモデルを同一負荷条件でシミュレーションしてみると、波形結果に違いが表れてくる事が確認できます。
4mAのバッファを使用した場合、立ち上がり時の不要な高周波ノイズが抑制されますが、立ち上がりが遅くなるという懸念があります。
10mAのバッファを使用した場合、立ち上がり時間は早くなりますが、立ち上がりの不要な高周波ノイズが大きくなるため、対策部品の挿入を検討しなくてはならなくなってきます。
このように、モデルの記述内容と波形結果は深く関わりを持っておりますので、供給されたモデルは、特徴を正しく把握して負荷回路に合った適切なモデルを選定していく事が必要となります。