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『DS-CR×Knowledge Explorer』で
実現する
技術伝承・ナレッジ活用の
DX(デジタルトランスフォーメーション)

エレクトロニクス製品開発に最適化されたPDM(*1)である図研の「DS-CR」は、最新のバージョンアップで、グループ会社である図研プリサイトが提供するAI搭載ナレッジマネジメント支援システム「Knowledge Explorer」と連携した。技術伝承、ナレッジ活用のやり様を変革するプラットフォームを目指したという今回の連携について両社のプロジェクト責任者にその背景や目的を聞いた。

*1 Product Data Managementの略。

■ 開発のきっかけは?

株式会社図研
技術本部 PLM開発部 
部長
高木 良亮

高木DS-CRは、元々設計データや部品情報を管理するだけでなく、それらの情報を有効活用できるプラットフォームであることを製品のコンセプトにしています。

DS-CRを導入したお客様は、部品に関係する様々な情報を蓄積して最適な部品選定を促したり、これまでの設計成果物を次の製品開発に活用しやすいように格納したり、といった使い方をしていただいています。つまりDS-CRには、単に部品情報や設計成果物が蓄えられているというのではなく、部品や設計の背景にあるお客様の貴重なナレッジも蓄積されています。

こうして貯めたナレッジの活用範囲を広げ、技術伝承にもつながる環境を模索するなかで、DS-CRと図研プリサイトのナレッジマネジメントシステムであるKnowledge Explorer(以下KE)との連携を検討しました。

KEは、当時(2年前)AIを搭載して関連ドキュメントを導出する性能がかなり向上していたので、DS-CRの強力な全文検索エンジンと連携させることができれば、他にはないナレッジ活用の仕組みができると考えました。

■ DS-CR / Knowledge Explorer連携による具体的なメリットは?

高木DS-CRの全文検索では、DS-CR内のCADデータやドキュメントなどの設計成果物が検索対象になっていますが、今回の連携によりワンストップでDS-CRや共有サーバなどからも情報を探せるようになったところが一番のメリットです。

例えば、ある部品に関する情報を調べるときに、DS-CR内だけでなく、社内の共有サーバに保管された過去の問い合わせ履歴なども関連情報としてKEが提示します。以前、研究開発部門のお客さまから、研究開発で貯めた情報を設計部門で活かしてもらいたいというお話を伺ったことがありますが、他部署で保管されているデータも部門の壁を超えてナレッジとして活用されるようになります。

倉本DS-CRは、電気設計の設計成果物であるCAD図面データや部品情報、部品にまつわる情報を体系立てて管理することができますが、DS-CR内の部品情報には紐づけにくい情報もあるのではないかと思います。

例えば2つの部品に関連する様な不具合情報などは、どちらかの部品に紐づけて持たせる訳にはいかず、どう持たせるかが難しかったと思います。そのような情報はDS-CRで管理せず共有サーバなどに保管し、何かのきっかけをもって探せるという形が実現できることもメリットです。

普段DS-CRを使っている設計者は使い慣れた環境から、中か外かを意識することなく探すことができるようになるという点も大きなメリットだと思います。

ナレッジ活用や技術伝承を阻害する原因を取り除くために

高木KEとの連携により、KEの特長でもあるMS Officeドキュメント作成中に参考情報をPUSH通知するという利点をそのまま活用できるので、設計者がDS-CRで承認回覧や設計変更起案を行う際に、KEの提示する過去の不具合や類似事例を事前に確認することを設計フローに組み込むことができます。
このような使い方で、ナレッジ活用だけではなく技術伝承にもつながると考えています。

倉本どの企業でも、重大なトラブルや不具合が起きてしまった場合には、再発を起こさない様にその時点で情報共有されているはずです。しかしながら、同じトラブルになりかねない状況が数か月後、数年後に起こった際に、過去に共有されたトラブル情報と類似していると紐づけられるかどうかは人に依存しています。そもそも過去にそうした不具合事例があったということを知らない人が、その事例にたどり着くのは簡単なことではありません。

蓄積されたデータからKEが関連しそうだと判断した情報を提示することで過去の事象に気づくきっかけを得ていただくことができます。KEが提示する情報は、100%求めるものではないかもしれませんが、関連する事実がわかれば、類似の情報が確認できますし、何よりその案件に関わった人がわかります。そしてそれが尋ねるきっかけにもなります。

リモートワークが続いていると、気軽に訊くこと自体が難しくなっていますが、きっかけがあれば、直接担当者に尋ねることができます。やはり、直接話すことで一番確実な情報を得ることができますからね。このような使い方で、自然と技術伝承にもつながると考えています。

続く...