Seminar Report
ANSYS CONVERGENCE出展レポート
CR-8000とつながる解析の世界
2013.07.25
電子機器開発における解析ツール(CAE)の有効性は以前より認識されていますが、設計ツール(CAD)と解析ツール(CAE)とのデータ連携に手間がかかり、環境を用意する手間がかかるという背景から、なかなか連携して運用されないまま現在に至っています。
CR-8000では、この問題を解決すべく、解析ツールとの連携をよりタイトにするため、基板の厚さや部品の高さ情報を持ち容易に三次元モデルが用意できること、階層化されたパッケージとボードを同時に扱えること、各CAEツールと最適なインターフェイスの提供、各CAEツールベンダ様とテクノロジーパートナシップを提携の上で利用者に安心して使ってもらう環境を提供しています。
連携がタイトでかつスムーズである、という環境は、解析結果を考慮しながらレイアウト設計を進めることを容易にします。 また、パターン経路の工夫により信号波形の歪を押さえたままノイズ対策部品を削減しコストダウンを図ったり、部品配置の工夫によりボード上の特に半導体周りの温度を低減させ長期に渡る信頼性を見込んだりすることも可能にします。
今回は、ボードに関わる分野だけでSI/Pi/EMC、熱対策、応力解析、はんだクリープ解析を始めとして、多岐に渡るCAE製品を開発、販売しているCAEツールベンダー、ANSYS様と図研の取組みについてご紹介します。
■ ANSYS CONVERGENCEへの出展
図研は5月に開催された「ANSYS CONVERGENCE」に、新竹(台湾)および東京会場に出展しました。会場内に展示ブースを設けさせていただき、来場された設計者や解析系エンジニアの皆様に両社製品の連携やサービスについてパネル展示しました。
■ 新竹(台湾)会場での展示
5月21日に新竹シェラトンホテルにて開催されましたANSYS Convergenceに出展しました。新竹は台北の南西60kmに位置し、台湾のシリコンバレーと呼ばれているハイテク工業地帯の中心都市です。多くの半導体メーカ、IT企業、研究機関、大学が集積しており、当日も多数の電子、メカ、流体分野の研究者や開発者が来場され、パッケージやプリント基板を解析するための連携について紹介しました。
また土地柄、フレキシブル基板、ワイヤーハーネス、製造分野の弊社設計ツールにも関心を寄せられました。
■ 東京会場での展示
翌週の5月30日、31日の両日にかけ、ホテルグランパシフィックLE DAIBA(東京・台場)にて開催されました。こちらも多数の電子、メカ、流体、医療分野の研究者、開発者が来場され、弊社のCR-5000/CR-8000とANSYS様各製品との連携について多くの関心を寄せられました。
■ 展示内容
- システムレベルでマルチボードをコンカレントに三次元設計できるDesign Force
- ANSYSルール群とCR-8000とのバウンダリフリーな連携環境
Design Forceの一番の特徴である システムレベルでマルチボードの設計を、コンカレントにかつ三次元で設計できる点、来場者の関心を惹きつけました。特にパネル展示している構想段階や詳細設計段階で扱う三次元の基板データとメカCADとのデータ交換、パッケージを三次元実装した際のTSV(Through Silicon Via)の扱い、高速回路信号の配線で求められる10度配線についてデモムービィを熱心に見ていただきました。
ANSYS様の製品は、昨年10月の弊社プライベート展(Zuken Innovation World 2012)にて、同社 一宅様に熱・応力解析、はんだクリープ変形解析の事例、また、太田様にはDDRxメモリーインタフェイスにSI/PI/EMI 事例を紹介していただきましたように、
Design Forceを始めとする弊社EDA製品で設計したパッケージやプリント基板を元に、様々な解析ツールへの適用事例を紹介いただきました。
■ 来場者の感想
新竹、東京会場共にブースにお立ち寄りいただいたお客様より下記感想をいただいております。
- 三次元化されているにもかかわらずボードデータの応答性が良い
- ANSYSの各種解析ツール群と垣根なしに使えるのはとても魅力的
Design Forceで得意とする最新テクノロジ(三次元方向にパッケージが実装される)を駆使したハイエンドの電子機器の設計には、三次元設計技術とそれに連動した解析ツールとの連携は不可避となりつつあります。また、軽量化、携帯性に伴う熱・流体解析などさまざまなシーンで パッケージやプリント基板とCAEツールとの容易なインターフェイスが求められる環境の中で、ANSYS様と連携を深めながら設計者の皆様にはバウンダリフリーなAE設計環境を実現していきたいと思います。
これからも進化しつづける図研の製品やサービスにご期待ください。