『最近は、レビューに参加することも少なくなったよね。私、ヒマー。』
(狭間) 「(うん。詳細形状の効果は大きいね。)」
その代わり、狭間はコネクタやスイッチなどの新規登録部品をモデリングする日々が続いていた。
『狭間っちはメカCADにすっかり慣れてきたみたいだし、麗子さんたちもいつの間にか、使いこなしていて、サッスガね!』
(狭間) 「(うん、そうだね。)」
『だんだん、理想的な環境に近づいてきたんじゃない?生技の人も分かりやすいって言っていたわよ。設計だけじゃなくて、後工程でも活用されるなんて、すごいわ。やっぱり、詳細化して正解だったわね☆』
(狭間) 「(そうだね。)」
『なーっんか、そっけないわね。ちょっとは私に感謝しなさい!それにまだまだ3次元データの使い道はあるわよ。アフターサービスの3Dマニュアルを準備するとか、顧客向けの資料なんかでも、3Dのデータが活用できるといいと思うんだけどなぁ。それから、商品企画でも検討材料として3Dのほうが嬉しいよね。やっぱり見た目が分かりやすいから、誰でも使いたくなると思うのよ。それからそれから、面白そうなサイトを見つけたんだけど・・・』
プルルルル プルルル(ガチャ)
(狭間) 「はい、狭間です。あ、谷川課長、お疲れ様です・・・はい、分かりました。お伺いします。(ガチャ)」
『もしかして、久しぶりのレビュー会参加依頼?』
(狭間) 「(いいや。何か分からないけど、来いって。)」
『ふーん。・・・とうとう来ちゃったか。。。しっかりしなさいよっ、狭間っち!あなたなら、もう大丈夫だから!!』
(狭間) 「(えっ?なにが?)」
エールを送る部品ちゃんの瞳が潤んでいるように見えた。
会議室には、技管の大泉課長と回路設計部の谷川課長が座っていた。
(大泉) 「狭間くん、疲れたか?ん?運用はうまく回っているようだね。ん?」
(狭間) 「はい!ライブラリチームの皆さんのおかげですよ。」
(谷川) 「設計者たちにも好評ですよ!」
(大泉) 「で、そろそろどうかね。ん?狭間くんの希望通り、回路設計部に。ん?」
(狭間) 「んっ・・・?? はっ!はい!!」
(谷川) 「10月から、また宜しくお願いしますね!技管で勉強した成果を見せてください!期待してますよ~!」
(狭間) 「(ぃやったー!これも部品ちゃんのおかげだなー。なんて報告しよう・・・ついに戻れるんだー。)」
技管に異動して3年。狭間は、少し自信をつけて、希望通り回路設計部に異動することになった。ニタニタしながら席に戻った狭間だったが・・・
(狭間) 「(あれ?部品ちゃんがいない。。。)」
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