Club-Z劇場
入社3年目 基板設計者 ミホの挑戦
【最終話】高速デジタル基板設計 ~SI設計~
監修:図研ハイスピード・ソリューションセンター
2009.07.23
佐藤 「まず、IBISモデルを見せてくれるかな。」
ミホ 「はい。」
佐藤 「・・。うん、ちょっと、ODT75のモデルを使って波形を出してみてくれるかな。」
ミホ 「おぉ、波形からオーバーシュートが消えてキレイになりました。」
佐藤 「ODTっていうのは On die Tarminationといって、ICの内部に用意されているインピーダンス整合をとるための並列抵抗のことなんだ。75というのはその抵抗が75Ωという意味。75Ωの他に150Ωや50Ωが用意されていて、それらがIBISモデルの[Model Selector](モデルセレクター)で記述されているんだ。」
ミホ 「モデルセレクター??」
コラム8【モデルセレクターとは】
ミホ 「へぇ、なるほど。ICの機能でもSIを調整できるようになっているんですね。でも、ODTの効果を正しく知ってないと実用は難しいですね。」
佐藤 「そうだね。でも、今回はより良い波形が得られたのだから、現状の波形とODTを使った場合の波形の両方を弁天堂さんに見せて検討してもらえば良いんじゃないかな。」
ミホ 「そうですね。これらの結果を送って先方と検討してみます。」
ミホメール
弁天堂 鳴宮様
お世話になっております。
ご依頼いただきましたデータストローブ、データの波形結果をお送りいたします。
また、ODTをご使用されたほうが波形結果が良いようにも思われますので
ご検討ください。よろしくお願いいたします。
まごころエンジニアリング 吉田
-翌朝-
ぴぽっ (Eメール受信音)
ミホ 「えへへ~、今日も鳴宮さんからメールが届いたわ♪ 」
部長 「・・・楽しそうで何よりだよ、吉田くん。。。」
鳴宮メール
まごころエンジニアリング 吉田様
SIシミュレーションの結果ありがとうございました。
ご提案についてもありがとうございます、早速、回路設計担当と共に検討してみます。
また、波形はこれで問題無いということが確認できたのですが、データストローブとデータバスの配線長に差異があり、信号の伝搬時間にズレが生じているところが気になっています。
配線長を極力揃えて、伝搬時間のズレを少なくしていただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
弁天堂 鳴宮
ミホ 「えっ、配線長をそろえなきゃいけなかったの?まぁ、配線長を調整するのは簡単だけど伝搬時間のズレってどうやって調べればいいだろう・・・ねっ、佐藤先輩?」
佐藤 「おい!当たり前のようにオレに聞くなよ!全くもう・・・」
ミホ 「はい?何か言いました??」
佐藤 「いや、何でもないよ。。。伝搬時間のズレだけど、それもSIシミュレーターで算出できるんだな。その方法は・・・」