入社3年目 ミホの挑戦

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

Club-Z劇場

入社3年目 基板設計者 ミホの挑戦

【最終話】高速デジタル基板設計 ~SI設計~

監修:図研ハイスピード・ソリューションセンター

2009.07.23

-前話までのあらすじ-
新規の基板設計で依頼主から『SIに留意した設計をして欲しい』 というリクエストを受け、メモリーインタフェース回路の配線設計ではじめてのSIシミュレーションを実践する基板設計者 吉田ミホ(23才)。SIシミュレーション・・?IBISモデルって何・・?特性インピーダンスって?ゼロからのスタートで不安一杯だったが、部長や前の会社でSIシミュレーションの経験を持つ佐藤のサポートを受け、SIシミュレーターでダンピング抵抗の配置が適切かどうかを見極めることができた。
つづけて、差動配線の引きまわしをSIシミュレーターを活用して決める。これまでの基板設計とは違った作業にとまどいながらも新鮮な気持ちで作業をつづけるミホ。
設計作業は順調に進み、いよいよ大詰めを迎えた。


部長 「吉田くん、キミに担当してもらっている弁天堂さんの基板設計、進捗はどうだね?」

ミホ 「はい、作業はスケジュール通りに進んでいて、納品予定日には何とか間に合いそうです。例のSIシミュレーションは、先方の鳴宮さんとメールで確認しながら進めていて、無事先方から依頼されたシミュレーション結果も納めることができそうです。」

部長 「そうか、よろしい!分かっているとは思うが、ウチも今年は不景気にあおられて仕事が減ってきているからね。当然、上からは設計現場の業務改革の指示がでている。じつは今回の件は、その改革のモデルケースにしようと思っているんだ。だから、よろしく頼むよ。」

ミホ 「そうなのですね。がんばります!」
  (部長ってば!私のこと、そんなに期待してたんですね☆)


Pururu...(電話の音)


設計部の人 「ミホちゃ~ん。弁天堂の鳴宮さんから電話だよ。」

ミホ 「はい、吉田です!いつもお世話になっております。」

鳴宮 「お世話になっております、弁天堂 鳴宮です。実はメモリーインタフェースの設計指示要件にお伝え漏れがありまして、そのご相談でお電話しました。今の進捗はいかがでしょうか。」

ミホ 「はい、その周辺の配線は終わっていて、製造に入る前の最終チェックと整形を行っているところです。SIシミュレーションの結果はその整形が終わってからまとめる予定ですが?」

鳴宮 「そうですか。じつは先日の設計変更でDDR2メモリーを変更したのですが、他の製品で誤動作が起きているという情報が入りまして、配線設計に注意が必要ということが分かりました。」

ミホ (え? それって、どういうこと?)

鳴宮 「すでに配線が終わっているのでしたら、まずはデータストローブ、データバスの波形結果を送っていただけますか?その結果次第では配線の引き回し変更をお願いするかもしれません。」

ミホ 「はい、では後ほど・・・。」

(え、えーっ、今さら配線の引き直し?!・・・ま、いいわ。とりあえずSIシミュレーションしてみよう)

ミホ 「あんなこと言われたら、ますます神経質になっちゃうわね。それにしても、この信号ネットの波形は矩形からかなりくずれちゃってるけど、これで大丈夫なのかしら?電圧は2.5Vまではね上がってるし・・このICの電源電圧って、たしか1.8Vだったわよね。」


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佐藤 「かなりオーバーシュートが残ってしまっているね。」
ミホ 「おっ待ってました!困ったときにどこからともなく現れる私のお助けマン、佐藤センパイ。」
佐藤 「お、お助けマン?!」
ミホ 「・・・やっぱりこの波形結果を弁天堂さんに送るのはまずいです・・・か?」

佐藤 「そうだね。でも配線し終えているから、もうあまり編集したくないよね。
    部品に関しても、もう発注したから変更はできない。
    対策手段がない・・・
    ように見えるけど、ICのある機能を使えば、オーバーシュートを抑えることができかもしれないよ。」

ミホ 「!!」