Club-Zコラム第23回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第23回】マトリクス体制での品質保証

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2009.06.23

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●著書 : book1.JPGbook2.JPG


適切な品質管理を実施できるような仕組みを構築し、運用することが品質保証であることを前回説明しました。品質管理を正しく実施するポイントは、製品(ここではサービスを含むことにします)の開発に先立って適切な品質計画を作成することでした。そして、個別製品の品質計画は、組織で整備されている標準にもとづいて作成できるようになっていることも忘れてはならないポイントでした。

前回紹介した ISO 9001 や PMBOK では、どちらも個別の製品開発を前提とした品質管理の説明になっており、プロジェクト軸と要素技術(職能)軸で成り立っているマトリクス体制(LinkIcon図64 を参照のこと)でどのように運用するのかは、明確に述べてはいません。今回は、このマトリクス体制での品質保証について考えてみたいと思います。

図64LinkIcon に示したように、マトリクス体制では組織図上の基本単位(グループ)が電気・電子、機構、ソフトなど技術領域ごとに分かれており、それぞれのグループにはマネジャーがいます。そして、技術領域ごとのグループからメンバーを出して、そのメンバーがプロジェクト・メンバーとなって個別の製品開発を行います。こうやって組織化されたプロジェクトにはプロジェクトマネジャーが存在しており、メンバーはプロジェクトマネジャーの指示に従って製品開発を進めます。

会社によっては技術領域ではなく、プロジェクトが組織図上の基本単位になっていることもあります。その場合は、技術領域ごとにタスクフォースワーキンググループのようなものを構成して技術リーダーを置き、プロジェクトを超えてコミュニケーションできる仕組みを運用していることが多いようです。しかし、技術領域軸でメンバーの育成や評価を行う方が容易なため、技術領域を組織図上の基本単位としているケースの方が多いと思います。どちらにしても、マトリクス体制ではプロジェクト軸と技術領域軸という2つの軸で開発マネジメントを行うことには変わりありません。

それでは、品質管理の仕組みで重要となる品質計画を切り口にして、マトリクス体制における品質保証を考えてみましょう。