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図研ベテランSEによる
知って得する機能解説 -アナログ解析編-
2010.02.18
■はじめに
今回は、電子回路の動作がコンピュータを使って体験できるアナログ解析ツール(SPICE)を、商品設計で簡単に活用できる仕組みをご紹介します。
図研は1987年にアナログ回路CAEシステム「AWS」を発表して以来、この分野の設計環境の充実に邁進してきましたが、まだこの環境の実現に至っていないお客様もいらっしゃいます。電子機器全体がデジタル化しているとはいえアナログ領域は残っており、アナログ解析ツール(SPICE)を駆使しながら回路を設計するという伝統的な手法は、実機でデバックする手法に対し断然優位なことには変わりません。
さて、皆様はどのようにSPICEをお使いになっていますか?
回路図CADとSPICEを連携し、スムーズにアナログ解析を行っているユーザ様も多いかと思われますが、例えば、
- 回路図CADとSPICEとのインターフェースがなく、解析用のデータを再入力している
- 回路を入力する人と解析する人が別で、別々のツールで回路図を書いている
- SPICEは持っているけれども、操作がわからず使っていない
等々の理由で、中にはSPICEの運用がうまくいっていないユーザ様もいらっしゃるかと思います。
実は、これらの問題の大半は、アナログ解析インターフェースを使うことにより解消されます。一度描いた回路図を解析用に再入力する作業も必要なくなりますし、回路図CADとの連携がスムーズになるので使われていなかったSPICEを有効活用することができるようになるのです。
■アナログ解析インターフェース
図研ではこのアナログ解析インターフェースとして、CR-5000/System Designer用にはAnalog Designerというツールを、Design Gateway用にはAnalog Simulation Control Unitというツールをそれぞれ用意しています。これらはアナログ解析ツールと連携を取ることが出来、回路の接続情報、抵抗やコンデンサの定数の受け渡しはもちろんのこと、その他解析に必要な条件や入力波形の設定などのユーザインターフェースを備えています。アナログ解析ツールとしては、PSpice、HSPICEなどに対応しています。
では、CR-5000/System Designer、Design Gatewayを使って作成した回路図を元にアナログ解析をする方法についてご説明していきます。
大きな流れについては、以下のようになります。
- CR-5000/System Designer、Design Gatewayで回路図を作成します。事前にLCDBライブラリに準備しておいた部品属性を利用すると便利です。
- Analog Designer、Analog Simulation Control Unitからネットリストを出力します。
- シミュレーションマネージャから解析の条件を設定します。
- SPICEシミュレータで解析を実行し、それぞれの波形表示ツールで結果を確認します。
それでは次に、ある回路を例にとって具体的にアナログ解析をしてみます。