Club-Z特集:Zuken Innovation World 2014 アカデミックセッション特別レポート③

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

☑Club-Z特集

Zuken Innovation World 2014アカデミックセッション特別レポート③

PI/EMCシミュレーションモデルの現状と展望
─ 京都大学 大学院工学研究科 電気工学専攻 和田教授による講演内容のご紹介

2014.11.20

エミッションモデルLECCSとICEM-CEは実質的に同一モデル

IC/LSIのエミッションモデルは、現在のところ電源系に特化したモデルです。これはICEM-CE(Conducted Emission)と呼ばれています。

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ご存知のように半導体はたくさんの非線形素子を含んでいますので、シミュレーションには非常に長い時間がかかってしまい、とてもボードレベルのシミュレーションには利用できません。
そこで考えられたのが、非常に単純な線形回路モデルとノイズ電流源を用いたマクロモデルで、ヨーロッパで開発されたICEM-CE(Conducted Emission)モデルが、IECのSC47Aで国際標準化されています。

私たちはこのモデルを10年以上前から研究しており、半導体の内部を線形等価回路と等価内部電流源で表現するエミッションのマクロモデルとして開発し、これを「LECCSモデル」と名付けました。

ところが、私達とほぼ同時期に同じような仕組みのモデルを研究し、開発したのが欧州研究グループの「ICEM」でした。ですからLECCSとICEMは「実質的に同一モデル」と言えます。他にCPM(Chip Power Model)やLPM(LSI Power Model)がありますが、これらも実質的にICEM-CEと同じです。現在、IEC SC47A/WG2で、ICEM-CE(IEC 62433-2)をXMLフォーマットに対応させる改定が予定されています。また、同時にIC/LSIからの放射性エミッションのモデルICEM-RE(Radiated Emission:IEC 62433-3)も審議されています。

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現在審議中のイミュニティモデルICIM-CI

次にイミュニティモデルですが、これは外部から入って来るノイズの問題を解くためのモデルで、ICIM-CI(Conducted Immunity)と呼ばれており、IECでの審議(IEC 62433-4)が進行中です。ICIM-CIは伝導性ノイズによるイミュニティ評価をシミュレーションするモデルで、デバイスとパッケージのインピーダンスモデルPDN(Passive Distribution Network)と、デバイス内部のイミュニティの振る舞いを表すIB(Immunity Behavior)から構成されています。これらのモデルは、モデル内部の表現としてSPICEモデルやSPICE Netlist、Touchstone形式のSパラメータなどを含むことができ、本体をXMLフォーマットで記述して統合管理できます。デバイスのサプライヤからユーザへのモデル流通を考慮したものとして、主にフランスから提案され、標準化審議がすすめられています。フランスでは既に、XML形式のモデルのリーダ・ライターも試作され、IECのワーキンググループでもデモンストレーションが行われています。

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