Club-特集:実装軽視に物申す!

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

☑Club-Z特集

実装軽視に物申す!

第1回:JISSOでもう一度日本が勝つ道 キーワードは「3D」と「規格化」

福岡大学 工学部 電子情報工学科教授・工学博士
友景 肇


2011.07.21

■ 部品内蔵基板を日本から
部品内蔵基板とは、プリント基板内部に能動素子や受動素子を内蔵した高密度基板である。図5に示すように、メモリーチップなどを多段に積層したSiP構造は、例えればチップ積層が高層ビル建設であり、土台となる部品内蔵基板は地下街建設に対応する。地下は多層構造で、電気、水、ガスなどのファシリティを効率良く送るために設計される。

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図5 SiP構造



日本電子回路工業会JPCAに部品内蔵規格部会が2008年3月に設置され、世界で初めてとなる部品内蔵規格EB-01が2008年6月に発行された。これは、構造を規定し、試験方法などを標準化することを目的としている。これまで日本人には、標準化は馴染まないと言われてきた。他国でできた規格に従うことには忠実であるが、自ら規格を作ることは不得意と言われてきた。しかし、規格化、標準化のメリットは、行う者が勝手に内容を変更できることである。例えば、ホンダがF1で連続優勝すれば、翌年にエンジンのレギュレーションが変更されたことを思い出す。部品内蔵基板に関しては、2009年12月に国際電気標準会議IECの投票でEB-01がPASレベルで国際標準となった。

部品内蔵基板は、基板の内部で素子を接続した後、埋め込むため、材料の特性を考慮してプロセスを設計しなければ、製造工程で接続不良を起こしてしまう。プリント基板メーカだけでなく、材料メーカ、装置メーカ、及び設計ツールメーカが協力しなければ歩留まり良く良品はできない。日本にはこの分野で強いメーカが揃っており、知見を出し合えば、日本が勝てる領域である。3次元実装の中でも、日本が勝てそうな分野が部品内蔵基板なのである。新たな設計・評価手法の開発と標準化で、世界をリードできる可能性がある。言うまでもなく、部品内蔵基板の設計は、3次元設計である。3次元データは、その後プリント基板製造工程やテスト工程に流れていくが、これまで部品内蔵基板の設計に準拠したデータ構造は決まっていなかった。

次回は、部品内蔵基板を含む3次元実装設計と部品内蔵基板規格が日本で出来上がった経緯について述べたい。

feature_20110721_4.jpg執筆者プロフィール
友景 肇
1953年生まれ。1977年九州大学工学部電気工学科卒業。1982年九州大学大学院工学研究科博士課程後期(電気工学専攻)修了。1982年福岡大学工学部電子工学科講師。1985年福岡大学工学部電子工学科助教授。
1987年米国スタンフォード大学客員研究員。
2009年6月~2011年5月エレクトロニクス実装学会会長
現在、福岡大学工学部電子情報工学科教授・工学博士

潜入!三次元半導体研究センター ①

Club-Z編集部

とその前に、友景先生にご挨拶。

2011年3月に完成したという【三次元半導体研究センター】の取材のため、福岡県糸島市へ行ってきました。
と、その前に。本センターの設立に携わった友景 肇教授にお会いするため、福岡大学へ寄り道。
福岡空港から車で30分ほどの場所にある福岡大学は、幅広い分野の学部があるため、キャンパスがとても大きく、歩いて回るには気が遠くなりそうな広さでした。規模が大きいだけあって、学生さんもたくさん!feature_20110721_5.jpg
校舎に入ると、壁一面に様々な掲示物。今の時期は就職活動に関する情報が多いようですが、その中に今回取材する【三次元半導体研究センター】の紹介も。ふむふむ。なんだかこれは大きなプロジェクトのようだぞ…と、見入っていたところで、お部屋に案内されました。

「お邪魔しまーっす」
ドアを開けた瞬間、まずは部屋に溢れる緑に驚きました!そして、その緑に紛れて気になるものがちらほらと・・・


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あれ?書棚の中に何故か飛行機。
しかも、背景には綺麗な青空付き!
凝ってますねー。
ちなみにこれらの飛行機は全て紙でできているそうです。


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そして、こちらは昔作ったというアンプ。

友景先生はご自分で作られたモノには決まってこのブルーを塗っているとか。
こんなところにもこだわりが。


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そして、癒しスペースをもう一か所発見!
こんなところに水族館が。

この他にも電車や車の模型、古地図、浮世絵、能面etc…たくさんのものに囲まれたお部屋は、先生の多趣味な一面が垣間見れる空間でした。



もちろん、本業の半導体に関する研究成果もありましたよ(笑)

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feature_20110721_11.jpgそして、最後にご紹介するのが先生の著作本。
どの本にも「日本の半導体産業」に対する熱い想いが綴られていました。そして、それらを支える「熱くて」「面白い」人達を取材した「革新者たち」という本。
これらを拝見すると、先生のこの業界での交友関係の広さがよく分かり、ここに写っている革新者たちの笑顔の写真からは、先生と皆さんとの良好な関係が伺えました。

さて、次回はいよいよ【三次元半導体研究センター】へ潜入します!


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