Club-Z劇場
入社3年目 基板設計者 ミホの挑戦
【第1話】高速デジタル基板設計 ~IBISモデルって何なのよ~
2009.04.23
(設計部に戻ってきた部長とミホ。)
ミホ 「部長!あんな約束して良かったんですか。“えすあいしみゅれーしょん” って、最近、したたか設計が始めた伝送線路解析サービスのことですよね。それっていったい何ですか?」
部長 「まぁまぁ、落ち着いて。 SIシミュレーションっていうのはね、吉田君の設計した配線に高速デジタル波を流してみて、デジタル波が送信ICから受信ICに正しく伝わるかどうかをCAD上でシミュレーションしてみる事だよ。シミュレーションしてデジタル波が劣化していなければ、キミの配線設計が優良だということの裏付けになる。」
ミホ 「あ、それは良いですね。私、自分の設計した基板の品質って気になっていたんです。
ところでアイビスって・・何ですか?」
部長 「アイビスはSIシミュレーションに必要な素材のひとつで、デジタルICの電気特性が書かれたファイルのことだよ。 CAD上でIBISを部品に割り付けてシミュレーションするんだ。」
ミホ 「そうなんですね。あれ? そういえば、ウチってSIシミュレーターなんて持っていなかったですよね。」
部長 「SIシミュレーターは、つい最近図研から購入したんだ。それに使い方のほうも心配はいらないよ。ほら、図研のZuken Global Supportに 波形を出すまでの手順が載っているから、これを見て波形を出せばいいんだよ。」
<Zuken Global Support>
https://support.zuken.co.jp/global/downloads/Index/detail?dl_no=103-100102
※ CR-5000 Lightningユーザー様のみ閲覧ができます。
部長 「まぁ、詳しいことは中途入社の佐藤君に教えてもらいなさい。彼は前の会社でSIシミュレーションをやっていたんだ。例のプロジェクトが忙しくてこの件は担当できないが、キミをフォローしてあげるように言っておくから、この件はキミが責任を持ってやってくれたまえ。それじゃ頼んだよ。まぁ楽しんで。」
ミホ 「ちょっと、部長~ 。」
(という訳で、佐藤先輩の席にやって来たミホ)
ミホ 「佐藤センパーイ、新しい設計でSIシミュレーションをやることになったんですけど、私たちのチームはできる人がいないんで、教えてください。それから・・・アイビスについて、少し詳しく教えてもらえますか?SIシミュレーションに必要な素材だってことは分かったんですけど・・・」
佐藤 「はっはっは。ミホちゃん、ずいぶん背伸びしたねー。まぁ波形を出すだけなら大したこと無いよ、簡単カンタン。まずIBISっていうのはね・・・」
コラム1【IBISモデルとは】
ミホ 「なるほど、先方から送られてきた **.ibs ファイルもまさにこんな感じで書かれています。」
佐藤 「うん、このIBISっていうのは書き方が決まっていて、シミュレーションに必要なさまざまなデータが書いてあるんだ。例えば、ICの駆動電圧は[Voltage Range]に書いてあって、これはデジタル信号“1”の電圧値のことなんだよ。」
ミホ 「つまり今回のIBISは [Voltage Range]に1.8って書いてあるので、1.8Vの波形になるということですね。」
佐藤 「そのとおり!」
コラム2【IBISモデルの品質と波形の関係】