Club-Z劇場
新人岡田君のちょいモテ設計者への道
【第9回】EMC設計とは? ~一難去って、また一難~
2008.12.18
「こういうのは、基板屋さんへの指示書(チェックリスト)にちゃんと書いたらなアカン。回路図に記載されている情報だけやったら、基板屋さん、分からへんやろ。両者の基板パターンは違うけど、回路図だけの表記やったら、どっちも同じになってまうやろ。岡田の作った指示書には、こういった常識的な項目さえ書いとらんのや。こういうのは指示書やない!」
パスコンは知ってたのに・・・電源ピンとGNDピンに近接して置く、という指示は確かに出さなかったなぁ・・・自分が分かってるからって他の人も分かるはず、なんて思っちゃいけないのに・・・
だんだん気分が落ち込んできた・・・
でも、容赦なく小輪井さんのお説教は続く。
「それから、フレキ基板とコネクタについても確認してへんやろ!前回モデルでも同じフレキ基板とコネクタが採用されとったんは知ってるな?」
「えっ、、、はい。」
「そのときのEMI評価結果を調べてみたら、今回流用設計しているのと同じフレキ基板とコネクタが問題になってたんやけど、それは確認したんか?」
「か、か、か、確認・・・してません。」
「あほ!標準書だけやなくて、流用設計箇所は流用元のEMI評価結果を確認するのが常識じゃ!!以前のモデルで問題があった箇所は、きちんと状況、条件、評価結果、対策を記録で残しておくんじゃ。一見、手間が掛かりそうに思えるけど、長期的に考えれば、圧倒的に設計を効率化できる。こういう重要な検証結果や記録も確認してから、きちんと対処方法を検討し、その情報を基板屋さんに伝えてやらんといかん。」
確かに・・・でも・・・
「具体的にどんな情報を伝えればいいんでしょうか・・・?」
「アホ!自分で標準書、読んでみぃ。ちゃんと書いてあるやろ。」
ははっ・・・勇気を出して聞いてみたけど、やっぱり怒られた。
「いくつかやり方はある。例えば信号ラインに沿ってGNDシールドパターンを近接させてレイアウトするとかや。」
と、一枚の資料を見せてくれた。
「こんな条件は、回路図を見ただけでは基板屋さんには分からへん。回路図上のGNDは単なるGND記号での表記しかない。しかし、基板上でのGNDは、EMI抑制のための様々な形状のパターンがあるわけや。そういうEMC設計に必要やけど回路図だけでは伝わらない情報は、回路図と併せてきっちり伝えてあげなアカンのや。自分が基板屋さんの立場になって考えれば直ぐに分るやろ。」
小輪井さんのあきれた顔が痛かった・・・
「まぁ、こういう設計は経験も必要やからなぁ。でも、分からんことがあったらすぐに聞かなアカンで!分からんままにしとったら、全然成長せーへんからな。今日はみっちりしごいたるさかい、心して聞くんやな。」
気合十分の小輪井さん。そして、げんなりしていくオレ・・・
そして、小輪井さんのお説教、いや、有り難いお話は深夜まで続いたのでした。。。