ちょいモテ設計者への道

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

Club-Z劇場

新人岡田君のちょいモテ設計者への道

【第9回】EMC設計とは? ~一難去って、また一難~

2008.12.18

「岡田、そこ座れや。」
あまりの恐怖に体がすくむ。デ、デカイよ、この人・・・

「ワシはEMC評価担当の小輪井や。岡田君言うたな?EMCについてえらい甘く考えとるようなんで今日はハッキリ言わせてもらう。

EMC設計は、製品の企画、構想段階から、ちゃんと気ぃつかって設計せなあかんのや。【ある程度】とか、無責任なこと言うたらあかん!試作品が出来上がってから対策しようとしても、簡単に設計変更は出けへん。時間もカネもかかるんや。
試作が終わったあとで何とかするんやなくて、設計段階でちゃんと必要な検証を済ませておくのが、EMC設計における一番のキモなんや。」

返す言葉もなく、ただただ嫌な汗が流れるオレ。

「まず、この部品選定はなんや?」
回路図を指差す小輪井さん。

「この製品に、こんな高速動作の部品、必要か?動作の速い部品になるほど、ノイズで問題が起き易いんや。こんなん常識やろ。しかも、ちゃんと調べたら回路動作に支障のない範囲で、もっと動作の遅い部品があるやないか。設計標準書のここにも、ちゃんとEMCを考慮した部品選定基準が書いとるやんけ!ほんまにちゃんと確認したんかぁ?」

  • 必要以上に高速なIC/LSIを選択しない


あっ・・・必要以上っ言われても分からないや、、、と適当に選んでしまった箇所だ・・・
「す、すみません!!すぐに設計変更の検討に入ります!!」
「ぼけ!まだぎょうさんあんねん。ほんまええ加減な奴やなぁ!」

「まず、標準書にも書いとるけど、ダンピング抵抗はもっと有効に使わなアカン。比較的電流レベルが大きいラインはノイズを出しやすいんや。そういうラインには、動作に支障がない範囲でダンピング抵抗を取り付けられるのか、検討した方がええ場合があるんや。」



LinkIconダンピング抵抗の有効活用とは?


そして、ギロっと睨む小輪井さん。
「これだけやと思うな。まだまだあるで~。」

「このICの電源ピンとGNDピンについてるパスコンはなんや! 」

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「標準書、見てみい。」

  • ICの信号ピンとGNDピンからパスコンに接続されるパターンは可能な限り短く


あれ・・・気をつけたつもりだったんだけど・・・

「パスコンはICの電源ピン、GNDピンに接続するだけやのうて、パスコン電極-ピン間の距離をもっと短くせなアカンやろ。
こんなに距離が長いと、ICピンとパスコン電極の間のパターンが長くなってインダクタンス成分が大きくなってしまうんや。このパターンは出来るだけ短くしてやらんと、インダクタンス成分が大きいままやったら、パスコンが持っている本来のノイズ低減効果を十分に発揮でけへん。」

「例えば、こういうふうに直すんや。」