ちょいモテ設計者への道

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

Club-Z劇場

新人岡田君のちょいモテ設計者への道

【第7回】SIとは?① ~トラブル発生!~

2008.10.30


二日酔いの後の、徹夜。
昨日はとにかくハードだったなぁ・・・とりあえず大ごとにならずに済んだからいいけど、、、
あーっ、キツイ。。。

そこへ、土田課長が現われた。
「岡田、昨日はご苦労だったな。ところで昨日のトラブル、実はお前、全く分かってなかっただろ?」

おっと!図星です、課長。。。

苦笑いするオレを見て、苦笑しかえす土田さん。

「だよな。お前にもそろそろSIの話をしなけりゃなあ、と思っていたところで、昨日あんなことが起きてしまったというわけだ。」
「はぁ・・・」
「とりあえず、なんであんな問題が起きるのか説明するか~。」
「お願いします。」

「最近、多くの製品でデジタル回路が当たり前のように使われてるだろ?」
「そういえば、今設計している製品にも新しい画像処理チップを使うとか言ってましたね!」
「そうだな。画像処理チップのように大量のデジタルデータを扱うものは高速な処理が求められ、年々高速化が進んでいる。しかし、この高速動作が“誤動作”や“ノイズ”問題にもつながるんだ。これは一般に“SI/EMC”問題などと呼ばれている。これが厄介なんだなぁ~」
「へぇ~。。。」
「おい!へぇ~、じゃないよ、岡田! ちゃんと設計したはずなのに、実際に基板が出来上がり、いざ評価という時になって昨日みたいに基板が正しく動作しなかったらどうなる?」
「こ、困ります!かなり困ります!!」
徹夜明けで頭がぼんやりして、つい変なことを口走ってしまった・・・

「だからこそ、高速のデジタル回路基板設計では特にこれらの問題について気を配る必要があるんだ。昨日のトラブルで身にしみて分かっていると思うけど、SI/EMC問題は重要なんだ。」
「は、はい・・・」
「でも、岡田がSI/EMCのことを解っていなかったように、多くの会社でもSI/EMCを理解せずに設計しているケースが実は多い。何故だと思う?」

「そうですね・・・回路設計とプリント基板設計が分業されてきてしまったからでしょうか・・・?」
「おっ、分かってるじゃないか。現在多くの企業では、回路設計とプリント基板設計は別々の担当者が分業して行うことが一般化している。オレンジ電機でも、岡田をはじめ、今の若い回路設計者の多くはプリント基板設計を経験したことがない世代だ。だから、実際のプリント基板設計において、どこにどれくらい気を配ればよいのか理解していないまま設計業務を行うことになる。一方で、昔、基板設計をした経験のある回路設計者、つまり今のマネージャークラスは高速デジタル回路の経験などないため、今の設計者に的確なアドバイスができるかというと、これもまた難しい。そうなると・・・」
「プリント基板設計者にお任せしちゃいたいなぁ~って思っちゃいますよね。」

全くお前は、と肩を落とす土田課長。
しまった・・・

「プリント基板設計者だって、回路や電気的な影響を深く熟知している人は多くない。彼らもまた、回路設計者に適切な指示を出して欲しいと思っている。だから、まずは俺達回路設計者がSI/EMCについて理解を深めることが大事だし、結局効率的、ということになる。分かるか?」
「確かにその通りかもしれませんが・・・現実には業務に追われて、実践するのは困難なことも多いですよね・・・?」
思わず言ってしまった。

「お前にまで言われちゃうとはなぁ・・・というか、そんなネガティブな発言を若いお前がするなよ~。もっと仕事に対しては好奇心を持ってアグレッシブに行け! でもまぁ事実、分かってはいても手をつけられないケースが多かった。だから、その状況を改善するために新たな取り組みを始めたんだ。」