ちょいモテ設計者への道

【第5回】回路図は設計者が入力すべき①　～CADスペシャリスト　かおりん～

2008.08.28

「岡田！随分長かったな。篠原さんにしごかれたか？」
ニヤニヤと嬉しそうな土田課長。確信犯ですね、あなた･･･

「もう大変でしたよ。篠原さんにジョージに･･･」
「ジョージ？あぁ、高田さんの特別授業も受けさせてもらったんだ。そりゃ、良かったなぁ！
っで、発注準備の方は完璧か？」
「あっ、は、はい。多分大丈夫だと思います。」
手元の資料をぎゅっと握り締める。早く復習しないと忘れそうだよ･･･

「今回の発注準備は岡田に任せるからな。頼んだぞ。それから、CAD入力の方も忘れんなよ～。」
あぁ･･･もう、やることいっぱいだよ。

グルグルグルグルゥーっ。
気付いたら外は真っ暗。もうこんな時間かぁ･･･腹減ったなぁ･･･

「岡田、飯行くか？」
「はい！土田さんのおごりっすか？」
「ふざけんな。」
グッドタイミングです、土田さん！


会社近くのいつもの居酒屋。軽い食事もあるのでオレンジ電機社員御用達のお店だ。

「どうだ？仕事には慣れてきたか？」
「そうですね。今日、また新しいことをたくさん知りましたけど。ていうか土田さん、先に教えておいて下さいよ！篠原さんには怒られるし、高田さんには軟禁されるし大変だったんですから！」
「はははっ！あれはみんなが通る道なんだ。ためになったろ？」
ほんとこの人は･･･

「今日は岡田にとってステップアップの日だな。よし、今日は日頃疑問に思ってること、何でも質問していいぞ。」
疑問ねぇ･･･突然言われても･･･　あっ。　ふとあることを思い出した。

「友達で僕と同じ回路設計者の奴がいるんですけど、回路図のCAD入力は専任のオペレータがやってるらしいんですよ。なんでうちの会社は僕達回路設計者が直接入力してるんですか？専任のオペレータに任せたほうが楽そうですけど。」
「チッチッチッチッ！岡田、それにはいろいろ理由があるんだ。」

少し真剣な表情になる土田課長。

「実はうちも昔はそういう体制だった。でも、それを変えた。
理由の一つは、単純に工数の削減だ。オペレータに入力させる場合、どちらにしろ回路設計者が下書きを作成しないといけないから二度手間になるし、途中で何度かやり取りも入って、最後に他人が書いた回路図をチェックすることになる。返って回路設計者の手間が多くなることもあるんだ。」
「なるほど。確かに業務を依頼するのも、できたものをチェックするにも、意外と時間がかかりそうですよね。自分で書いていれば、イメージ通りに書けますし、チェックもそれほど大変じゃないですよね。」
「そうだな。それと、オペレータに作業が集中することもあって、設計者は順番待ち！なんてケースも出てきた。」
「トータルで考えると、効率が悪いですね。」
「その通り。でもそんなことは、最初から分かっていたことなんだ。それでも、オペレータに依頼していた理由が、他にもある。」
「他にも？」
「新人の頃、ＣＡＤの教育を受けたと思うけど、いざ実践って時に、使い方忘れてなかったか？」
「あっ･･･そうですね･･･」
「回路設計者の業務のうち、ＣＡＤを使用する時間はそれほど多くはない。だから操作教育を受けても、忘れてしまうという問題があった。そうなると回路設計者は『覚え直す時間がもったいないから、オペレータに任せたほうが効率的』と考える。」
「確かに･･･」
「岡田はCADの使い方が分からなくなった時、どうしてる？」
「あっ、かおりん！！」

思わず叫んでしまった。。。目を丸くする土田さん。