Club-Zコラム第29回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第29回】はじめが肝心

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2010.05.24

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●ブログ : http://ameblo.jp/iryozo/entrylist.html
●著書 : book1.JPGbook2.JPG


4月から新年度というところが多いと思います。この時期、年度方針や年度計画の話が、全社、事業部、部、課、チームといった組織の各階層で行われているのではないでしょうか。年度の初めに合わせて新しく大きなプロジェクトが発足したところもあるでしょう。このようなところはプロジェクトの方針や計画がメインかもしれません。

ただ、残念なことに、このような方針や計画の説明会が終わった後の周りの反応は、次のような感じになることが多いものです。

「計画を発表するのはいいけど、そんな目標、達成できるわけがない。」
「目標を達成するのに、これ以上何をがんばればいいのか。」
「上からの数字を下におろすだけじゃなくて、上に対してものを言ってほしいよ。」
「こんな短い開発期間でこれだけのものを作り込むのは、無理に決まってるでしょ。」
「品質第一って毎年言っているけど、開発が進めばいつも二の次だし。」

達成できそうにもない高い数値目標やとにかくがんばろうというかけ声。こういうものと一緒に一方的に方針や計画が伝えられるだけで、ほとんどの人にとって、自分には関係がないと思う話になっているわけですね。私も前職では、いろいろと立場は変わったものの、同じような感想になってしまい、説明会の次の日にはその内容は頭の片隅に追いやられ、いつもと同じ毎日に戻っていることが多かったように思います。

そして、組織の方針や計画の説明会が一通り終わった後には、一人ひとりに対する面談がはじまります。組織の方針や計画を受けて、個人としてどういう一年にするのかを話し合うのが目的で、個人のスキルアップ計画なども話し合いのテーマになることが多いと思います。

ここでも、面談が終わって自分の席に帰って来た仲間の口から聞こえてくるのは次のような言葉です。

「勝手にそんな目標設定されても、できるわけないし。」
「こっちのいうことを何も聞いてくれないくせに、要求ばっかり。」
「レベルアップしろと言われても、ここじゃそんな余裕も時間もないよ。」
「精神論ばかり言われても、もうやる気が出ないよ。」
「いつも偉そうな態度で、そもそも話をするのがイヤ。」

このような残念な結果になるのは、面談をしているマネジャーやリーダーは、会社の方針にしたがって形式的にやっているか、目標達成という自分の思いを伝えたいという一方的な思いでやっている人が多いからだと思います。そして、そんな思いは伝わりますから、マネジャーやリーダー側に対する反応もあまり良いものにはなりません。マネジャーやリーダーも、面談を終えた後は嫌な思いが残ることが多いものです。