Club-Zコラム第24回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第24回】システム設計とは

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2009.08.27

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●著書 : book1.JPGbook2.JPG


コンサルタントとして多くの開発現場に入ると、普段使っている単語、もしくは意味しているものが開発現場によって想像以上に違うことを実感します。たとえば、「レビュー」という基本的な単語ひとつとっても、開発工程ごとに完了確認を行うための公式な会議を意味する開発現場もあれば、技術者同士が議論しながら設計を確認することを意味する開発現場もあります。そうすると、「レビューはきちんとやっています」と話してくれたとしても、開発工程ごとに適切な中間成果物が作成されたことを、組織として客観的に確認していると言うことなのか、技術者が行う設計作業の一貫として他の技術者に自分の設計結果を見てもらうと言うことなのか、その発言が意味する内容は大きく違ってしまいます。

「システム設計」も、開発現場によってその位置づけや作業内容が想像以上に違う言葉のひとつです。そもそも、開発の上流工程が明確になっていないと言うこともあるのですが、開発現場によって対象となる領域が、ハードウェアだけなのかソフトウェアだけなのか、それともハードとソフトを併せた製品あるいはシステム全体なのかも違いますし、仕様や顧客要求を詳細化することを指すのか、仕様や顧客要求を製品やシステムの構造に変換(マッピング)することを指すのかという開発工程上の位置づけも違います。

ここでは、システム設計を図67 のように定義したいと思います。図67 は開発の上流工程を記述したものですが少し解説しておきます。一番左にあるのがエンドユーザや顧客の要望、ニーズですが、それらはエンドユーザの言葉で記述されたものですから整合性や一貫性は保証されていません。これをハードウェア、ソフトウェア、その他いくつかのサブシステムに分けて、相互に不整合がないように要件を整理する作業を「システムエンジニアリング」工程と定義しています。さらに、システムエンジニアリングで明確になったハードウェア要件は「ハードウェアエンジニアリング」により、ハードウェアの仕様や内部構造、必要な開発作業などに分解(展開)されます。同様にソフトウェア要件は「ソフトウェアエンジニアリング」によりソフトウェア仕様、ソフト内部構造、必要な開発作業などに分解(展開)されます。

このように開発工程を定義したとき、「システムエンジニアリング」と「ハードウェアエンジニアリング」「ソフトウェアエンジニアリング」などのサブシステムごとのエンジニアリングを「システム設計」と定義します。したがって、システム設計の対象領域は製品(システム)全体、および、そのサブシステムであるハードウェア全体やソフトウェア全体となります。また、開発工程としては、仕様を詳細化する工程も、仕様から内部構造に変換(マッピング)する工程も含まれます。


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