Club-Zコラム第20回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第20回】隠れているプロジェクト全体の問題を見極める

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2009.03.26

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●著書 : book1.JPGbook2.JPG


進捗管理のための基本メトリクスセットのひとつである開発工数メトリクスについて解説していますが、前回は、プロジェクト構造(WBS)軸とアクティビティ軸のそれぞれの視点で開発工数メトリクスをグラフ化した例を紹介しました。少しおさらいをしておきましょう。

図54LinkIconのプロジェクト構造軸ごとの工数推移では、プロジェクトを構成しているサブグループ(ブロック)の工数の動きを把握することができ、機構サブグループ(ME)が最も早くから開発着手していたことや、開発初期段階である現時点では全体アーキテクチャ設計を担当しているシステムサブグループ(System)が開発作業の中心となっていることがわかりました。

図55LinkIconのアクティビティごとの工数推移では、開発工程ごとの時間の使い方を見ることによって開発が適切に進んでいるかどうかを見ることができました。プロジェクト構造軸のグラフでは、システム設計である全体アーキテクチャを担当しているシステムサブグループがもっとも多くの工数(40 %程度)を使っていたのですが、アクティビティでみるとどの週もシステム設計は多くても 20 % 程度であり、基本設計や詳細設計にも同じくらいの割合で工数を使っていることがわかりました。システム設計が完了する前から基本設計や詳細設計に着手しており、システム設計の手戻りになる危険が高いと考えることができました。

したがって、もし、あなたがプロジェクトの責任者であれば、基本アーキテクチャを設計すべきシステムサブグループについての詳細と、基本アーキテクチャ設計が含まれるシステム設計についての詳細を確認するだろうと思います。そこで今回は、プロジェクト構造軸におけるシステムサブグループとアクティビティ軸におけるシステム設計を中心に開発工数メトリクスを使って、より詳細な状況分析をしてみましょう。