Club-Zコラム第19回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第19回】工数で技術者の振る舞いを知り、プロジェクトを知る

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2009.02.26

それではまず最初に、プロジェクト構造軸とアクティビティ軸とで開発工数の時間推移をグラフにした例を紹介しましょう。図54 がプロジェクト構造別の工数推移、図55 がアクティビティ別の工数推移です。

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このプロジェクトは、大きくベースバンド(BB)、ネットワーク(Network)、プラットフォーム(Platform)、無線(RF)、ソフトウェア(SW)、機構(ME)、システム(System)という7つのブロックに分かれて開発を進めており、図54 を見ると、機構(ME)ブロックが最も早く開発に着手していることがわかります。また、システム (System) というアーキテクチャ設計など製品全体を担当しているブロックが継続的に全体の3~4割の大きな工数割合になっていることがわかります。このことから、この製品開発は機構面の新規開発要素を持ち、全体のアーキテクチャ設計が重要であると分析できます。そして、この分析が実際は違うということになれば、プロジェクトの進め方に問題がある可能性が高いことになります。

また、図55 を見ると、開発の最初から基本設計に入ってしまいシステム設計が後回しになっていることがわかります。先ほどの図54 と合わせて考えると、機構ブロックがシステム設計を待たずに基本設計を行っていると想像できますが、機構ブロックのアクティビティ別工数推移グラフを見ればそれが正しいことが確認できます(グラフは掲載しませんが実際そうでした)。したがって、システム設計の結果次第では手戻りになる可能性が高く、機構ブロックの仕事に進め方には問題があると判断できます。さらに、グラフからは、基本設計や詳細設計、そして、システムテストまでもがシステム設計と並行して実施されていることがわかります。設計重視とは反対の、作ってみて動作確認するという開発スタイルになっていると考えられます。

単純に基本メトリクスセットの基本である2軸で開発工数メトリクスを見るだけでも、プロジェクトの状況を客観的に把握できることがわかっていただけたと思います。開発工数メトリクスはプロジェクトメンバーの振る舞い、すなわち、メンバーが何をやっているのかを知ることができる指標であり、それを積み上げたものがプロジェクトの振る舞いをあらわしているのです。