Club-Zコラム第18回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第18回】作業要素の進捗分析で過去も未来も見える

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2009.01.29

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●著書 : book1.JPGbook2.JPG


数回にわたって、進捗管理に利用する基本メトリクスセット(図41LinkIcon)について解説を続けています。前回はソフトウェア開発における成果物メトリクスについて解説しました。ソフトウェア開発の場合、開発工程ごとに適切な成果物を選択し、それを定量的に測定することで進捗を把握することをお話ししました。また、開発工程ごとの基準モデル(図43LinkIcon)を作成し、それをつなぎ合わせることで見積もり精度を高くする仕組みを紹介しました。

今回は、基本メトリクスセットのうちの「作業要素(タスク)メトリクス」について解説したいと思います。

作業要素とは、開発スケジュール上ではよく矢印で表現されている作業の一つひとつのことです。開発スケジュールが作成されていれば測定することが可能ですから比較的簡単に利用できるメトリクスですが、通常は、単にその矢印であらわされている作業一つひとつについてが遅れているかどうかを確認して、遅れている作業について個別に対応を考えるというような使い方です。また、もっとも遅れている作業を明らかにするためにイナズマ線と呼ばれる線をひいているところもよく見かけます。いずれにしても、進捗が定量化されているわけではありませんし、開発全体に対する現状の遅れの影響度合いを把握するような高度なことはできません。しかし、開発スケジュールにある情報を作業要素メトリクスの形にすることで、遅れを定量化することにより、より高度な進捗判断を可能にすることができます。ただし、いくつかの工夫が必要になりますので、ひとつずつ説明していきたいと思います。

まず、図42LinkIcon で解説したように開発スケジュールが WBS とアクティビティの2軸で表現されている必要があります。矢印で書かれている作業要素(タスク)が WBS とアクティビティの両方を特定できるようになっているということですが、そのためには、開発スケジュール上の作業要素がプロジェクト構造もしくは製品構造に合わせて分類されている必要があります。図42 ではカテゴリーと表現している部分です。たとえば、入力サブシステム、出力サブシステム、画像処理エンジンサブシステムというようなカテゴリーに分かれているということです。基本的に、進捗管理の観点で管理が必要な単位に分かれているはずですが、この分類が製品構造の観点からも適切なものになっているとスムーズな進捗管理、スムーズな製品開発が可能になります。

もう少し具体的に見ていきましょう。