コラム
グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス
【第15回】単純ではない進捗の見える化
株式会社RDPi 代表取締役 石橋 良造
2008.10.30
それでは、進捗管理の最初のステップについて、もっと詳細に実施上のポイントを考えてみましょう。
まず、進捗管理に使う項目を明らかにしたいと思います。プロジェクトの状況を把握するにはプロジェクトを測定する必要があります。プロジェクトの何を測定するのかということです。手間さえかければ測定対象はいくらでも増やすことができますが、プロジェクトの効率を落としてしまっては元も子もありません。必要最小限の測定項目を決めなくてはなりません。
図41 は、基本メトリクスセットと呼んでいる、進捗管理に最適な必要最小限の測定対象です。効率よく測定しようと考えると、観測したいものに対するインプットとアウトプットを測定することになります。また、ここにあげている項目はコスト(費用)や品質に関係しており、進捗管理が目的でなくても収集する必要があるものばかりですから、収集にかかるコスト(手間)は小さくなります。
開発工数は、プロジェクト・メンバーがどのような作業に時間を使ったのかを測定したものです。製造業における製品開発プロジェクトでは、主要なリソースはプロジェクトメンバーです。ほとんどの製品開発プロジェクトで、メンバーがどのような時間の使い方をしているのかがプロジェクト活動に対する最も重要な入力になります。
タスク(作業要素)は、必要となる開発作業の一つひとつで、開発スケジュールにおいて矢印などで表している作業です。作業成果物は、開発を通じて作成される文書や設計のアウトプット。そして、不具合・課題は開発中に発生した不具合や課題です。これらは、製品開発という活動の中で出力されるもので、タスクは作業規模をあらわす指標であり、作業成果物は開発規模をあらわす指標、そして、不具合・課題は品質レベルをあらわす指標です。これらをセットとして考えると、全体としてバランスのとれた指標になっていることがわかると思います。
時間や手間をかければもっとたくさんの指標を収集・管理することもできますが、開発そのものが高い効率性や生産性を求められているのですから、プロジェクト管理についても効率良く実施することが要求されます。基本メトリクスセットで示している4つの指標だけでもしっかりと収集できる仕組みを作ることができれば、効率のよい進捗管理が可能になります。