Club-Zコラム第16回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第16回】成功パターンを基準にするのが進捗管理の精度を上げる

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造

2008.11.27

回路図や実装図からは、端子数以外にも標準部品、後付部品、自動実装機部品などをカウントすることも可能です。図45 は、これらについて見積もり(計画)を作成し、回路図や実装図などから実績値をカウントして計画と実績の差(予実差)を時間推移にしたグラフです。このグラフでは、それぞれの値が計画値(100%)とどれだけ乖離しているのか、設計完了の予定日までに計画値に収束する傾向かどうかなどを確認し、進捗として妥当かどうかを判断することが可能です。

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図45 では、部品数やピン数は早い時期に計画値に近い値(100%)になっていますが、急な変化があったときなどは注意が必要です(図45 の橙色破線円の箇所など)。どのようなことが起きたのかを、進捗会議の場でしっかりと確認することになります。

さらに、自動実装機部品や後付部品などは、その計画値をもとに生産技術部門が製造工程の準備を進めているはずですから、計画との乖離が大きくなる可能性がある場合は早めに生産技術部門に連絡することで、手戻り作業や対応にかかる作業を最小限に抑えることが可能になります。図45 のような進捗報告を生産技術部門などの関連部門でも参照できるようにしておくことで、開発全体で効率的な進め方が可能になるわけです。

原価も作業成果物のひとつと考えることができます。図46 は部品表から部品の材料費、実装費、加工費を計算した値の時間推移をグラフにしたものです。ただし、このようなグラフを作成するには、部品ごとの材料費がデータベース化されていることや、部品の実装タイプと実装タイプごとの平均実装費(マウンターでは3円/部品など)、標準加工時間などがデータベース化されている必要があります。

このような進捗報告が常に参照できるようになっていれば、原価低減の追加対策をスタートさせる必要があるかどうかの判断や、製造工程でのコスト低減依頼などの判断が容易になりますし、関連部門との調整も容易になります。

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さて、今回は計画作成のための基準モデルの考え方について説明し、基本メトリクスセットの中の作業成果物について、基板を例にとっていくつかの進捗管理のためのグラフを紹介しました。ハードウェア開発の場合、このような進捗報告を関連部署も参照できるようにしておくことで、開発全体を効率的に進めることができるようになることを覚えておいていただきたいと思います。

次回は、ソフトウェアについても作業成果物の進捗グラフを紹介したいと思います。また、作業成果物以外についても実例を紹介したいと思います。

それでは、次回もおつきあいください。





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