Club-Zコラム第10回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第10回】政治的要因の検討で決まるスケジュールの確度・精度

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2008.05.29

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●著書 : book1.JPG    book2.JPG


これまで数回にわたって、設計部門における仕組み構築の考え方や手順を解説してきました。仕組み構築のためのシステム化計画作成は、頂上を目指す登山ルートを設計するというクリエイティブな作業であることをお伝えし、例として、開発効率2倍を実現するための登山ルートを設計しました。

作成した登山ルートは、麓から頂上までの道のり(工程)を示したもので、それぞれのステップで実施する対策を具体化し、必要となるシステム(ツール)や技法、必要となるスキルや費用なども明らかになっています。ただ、仕組み構築を進めるための日程が入ったスケジュールはまだ明確になってはいません。登山をはじめるには、食料、装備、メンバー、天候などを考慮して時間軸を記入したスケジュール(日程表)を作る必要があります。

時間軸が入ったスケジュールを作成する際には、必要最小限の効率的な作業計画にすることと、予定外のことが起きないようにできるだけ正確に発生する作業を計画することを両立させる必要があります。最終的に実績と計画との乖離がないことがベストです。

これまでのシステム化計画の作業を通じて、登山ルートは十分に検討したので必要となる作業は積み上げによってかなり正確に詳細化することが可能になっているはずです。したがって、この段階で重要となるのは、積み上げでは出てこない、実際の仕組み構築作業に影響を及ぼす作業をスケジュールに組み込むことです。そのために必要となるのは「政治的」要因を考慮することです。

政治的要因とは、部署間・マネジャー間の力関係、設計部門あるいは事業部の中期・短期計画実施の背景、上位マネジメントの行動や考え方、反対勢力の動向など、組織政治と考えられることです。どんなに綿密に必要となる作業をブレークダウンしても、また、どんなに技術的検討や設計を行ったとしても、政治的要因は計画や状況をガラッと変えてしまう可能性があります。どのような原因であれ、スケジュールを守ることができなければ仕組み構築そのものに対する不信感を生むことになり、目標達成に前に頓挫してしまうことになりがちです。したがって、確度、精度の高いスケジュールにするためには、政治的要因を考慮することが大切なのです。