コラム
グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス
【第9回】登山ルートの作成は仕組み構築の設計作業
株式会社RDPi 代表取締役 石橋 良造
2008.04.17
以上で、開発効率2倍という頂上まで行くことができること、そして、頂上までの概略ルート(実施すべき対策セット)が明らかになりました。しかし、登山するにはまだ危険です。道に迷う危険性をもっと減らすために登山ルート(コース)はできる限り具体化する必要があります。食料や天候のことも考慮してスケジュール(時間軸)も具体化する必要があります。さらには、登山パーティを見直す必要もあるかもしれません。具体的には、対策実施の体制作りや上位マネジメントとの関係構築なども並行して実施する必要があります。
このように、登山ルートを具体化するという最後の段階は、「政治的」なことが要求される段階です。スケジュールを作成するためには、部署間・マネジャー間の力関係、設計部門あるいは事業部としての中短期方針、上位マネジメントの説得、対策実施メンバーの確保などなど、政治的な様々なことを考慮し、実行に移すことが要求されます。
さて、今回も長くなってしまいましたので、政治的なことについては次回に回したいと思います。詳細を省略した部分も多いと思いますが、今回までの話で、設計部門の仕組み構築の際の考え方ややるべきことはお伝えできたのではないかと思います。大切なのは、目標達成のための道は無数にあり、歩むべき道は自分たちの置かれた状況や条件で考えなくてはいけないため、自分たちが主体的にやらなくてはならないということです。製品の良し悪しを決めるのは大部分が設計であることと同様に、仕組み構築の良し悪しを決めるのも、進むべき道を決めるという「設計」作業なのです。
それでは、また次回お会いしましょう。