「ミリ波」応用

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

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設計者にも知ってほしい。マイクロ波の基礎知識

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「ミリ波」応用 ─ 活用例と測定法

マイクロウェーブファクトリー株式会社
2015.02.19

■車間距離レーダでのミリ波活用

自動車に標準搭載されはじめている車間距離や障害物を検知するシステムは、開発メーカによってその物体の検知方法が異なり、レーダを使った方法やCCDカメラを使った方法などがあります。

レーダを使った方法では、電波を使用して遠方にある物体を探知し、その物体までの距離や物体の方位、速度を量ります。その物体探知に適した周波数がミリ波の帯域で、ミリ波を使った車間距離レーダのことを“ミリ波レーダ”とも呼びます。

ここでは、ミリ波レーダを利用した距離の測定方法のうち、パルスレーダとFMCW(周波数変調連続波)レーダの2つを例に取り上げます。

■ミリ波レーダによる計測

① パルス・レーダによる計測
パルス・レーダの方法では、ターゲットに向けてパルスを放射し、そのパルスが物体に反射し返ってくるまでの時間から、距離を求める手法です。距離を求める式は下記になります。

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図6. パルス・レーダによる距離計測系統図


②FMCWレーダによる計測
FMCWレーダは周波数変調した連続波を送信し、送信波と反射波の周波数差(ビート周波数)から距離を求める方式です。

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図7. FMCWレーダによる距離計測系統図、及び送信周波数と受信周波数の時間変化


なお、これらレーダ性能の計測を行う上で、様々な測定器・設備が必要で、ネットワークアナライザなどがよく知られております。このなかで、“リフレクタ”と“ターゲットシミュレータ”を例にその特徴をご紹介します。


CZ90_MWF_Reflector01.jpgまず、リフレクタ(反射器)についてまとめると、ミリ波レーダでは、測定対象が様々な物体であることを考慮する必要があります。それは、その物体の形状や素材によりレーダの反射が異なるため、反射量による測定レベルの違いが出てくるためです。
このとき、ミリ波レーダがシステムとして、正しい動作をしているのか、それとも誤動作などが起こっているのかを確認するためには、なにかしらの基準を設けておかないと判別が出来なくなります。この理由から、「リフレクタ(反射器)」の結果を測定値の基準とします。つまり、「リフレクタ(反射器)」を使うことで、レーダの測定系が正しい計測値を得ているかどうかが確認できるのです。

CZ90_MWF_Sumirator01.jpgつぎに、ターゲットシミュレータについてまとめます。レーダは、上述したように物体に反射し返ってくるまでの時間を計測して距離を割り出します。このため、車間距離用レーダ(ミリ波レーダ)の性能評価は実際に車両(ターゲット)が移動できる環境にて測定する必要があります。つまり、テストコースなどで車両が高速移動できる環境を用意する必要があるということです。こうなると頻繁に実験が出来ないなどの非効率な部分と、また、オープンな環境ではさまざまな通信や物質、外来ノイズ、天候による影響がでるなどの問題が生じますので、設計者から見れば暗室で安定した計測ができることが望ましいです。この課題を解決するものが「ターゲットシミュレータ」です。
「ターゲットシミュレータ」は内部に遅延回路を組み込んでおり、検出される相対速度や、距離を模擬的に設定することができますので、暗室内でのミリ波レーダーの性能評価が可能となります。


弊社ではミリ波の計測が可能な施設「MWF八王子 TEST Lab」や、測定設備として計測する際に利用する、ターゲットとしての「リフレクタ」や、遅延距離を変化させることができる「ターゲットシュミレータ」を販売しています。また、アンテナ設計などのインテグレーションのサービスも行っており、電磁界シミュレータを活用したご提案もさせていただいております。


また、レーダ計測用の設備やレーダに付ける筐体、レドーム*の評価などもしております。
ミリ波でお困りのことがございましたら、お気軽にお声を掛けてください。

*レドーム(Radome):アンテナをその構造をもって保護するもの



マイクロウェーブファクトリー社 LinkIconhttp://www.mwf.co.jp/

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