シールドルームと吸収体って?

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

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設計者にも知ってほしい。マイクロ波の基礎知識

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シールドルームと吸収体って?

マイクロウェーブファクトリー株式会社
2014.11.20

皆さん。はじめまして、マイクロウェーブファクトリーの小山と申します。
皆さんが日常的に使用している携帯電話やPC…電波を発信する機器が皆さんの手元に届くまでには、様々な安全性試験や機能水準試験をクリアする必要があります。
これらの試験を行うためには、シールドルーム・電波吸収体と呼ばれるセルが必要不可欠です。
今回は「シールドルーム・電波吸収体」とはどの様な物なのかを紹介させて頂きたいと思います。

■シールドルームとは

一言でいうと「電磁波を遮断する部屋」、という認識を持って頂ければと思います。
金属が電波を反射する原理を利用して、金属パネル、金網、導電性の材料などを用いて金属で覆われている部屋を作り、外からの電磁波の流れを遮断してシールド効果を発生させます。電波を遮断するので部屋の中には外からの電波が入らず、部屋の中で出した電波も部屋の外には漏れない仕組みとなっています。

皆さんが日常的に使用しているシールドルームに近い物としては、エレベータが挙げられます。エレベータは金属の箱状になっているのでシールドルームの特性に近く、扉が閉まると携帯電話が圏外になる経験をされた方も多いと思います。

シールドルームが電波を遮断する性能を数値で表したのがシールド性能と言い、シールド性能はdB(デシベル)で表されます。
シールド性能が高ければ高いほど電波遮断率が高く、使用用途によってはシールド性能100dB以上の部屋も存在します。
シールド性能の解りやすい目安して、携帯電話の電波を遮断するためには60dB程のシールド性能が必要になってきます。

シールドルームはただ金属材料で組めばよいと言うだけでなく、開閉ドア・空調・電源など細部にまでシールド処理を施す必要があるため、建てるためには技術と電波に対してのノウハウが必要な部屋です。

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■電波吸収体

シールドルーム内部に電波吸収体を貼ることで作られる部屋を電波暗室と言います。
電波吸収体とは読んで字のごとく、電波を吸収することを目的につくられた物になります。
種類は大きく分けて二つになります、一つは強磁性体を持つフェライトタイプ、もう一つはカーボンを含浸させて製作するウレタンタイプです。

フェライトタイプは、主に低い周波数を扱うEMCの暗室などに広く使用されており、対応周波数も数百kHz~1GHz程です。
ウレタンタイプは、数MHz~110GHzほどの帯域をカバーしており、主にマイクロ波~ミリ波の暗室(file.01でご紹介しています)で使用されています。

フェライトタイプはタイルやリング形状の物が多く、ウレタンタイプはピラミッド形状の物が一般的ですが、シートタイプのフラット形状の物や波型形状の物などもあります。

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電波吸収体の原理は、吸収した電波エネルギーを吸収体内部で熱エネルギーに変換することで、電波の反射を抑える構造となっています。

次頁に吸収体の有用性を示す簡単な例を挙げます。