EMC測定の基礎:製品開発におけるEMC

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03


☑EMC測定の基礎

8.製品開発におけるEMC

マイクロウェーブファクトリー株式会社

2013.03.21

みなさんこんにちは。昨年の8月から書かせていただいた「EMC測定の基礎」もいよいよ最終回となってしまいました。最初は「EMCとは何ぞや?」というところからはじまりました。読んでいただいている皆様の中には、既にEMCに関して精通されている方から、言葉すら知らなかったという方までいらっしゃるのではと思いますが、ここではEMC規格について、規格の内容に沿った測定や試験のやりかたまで、ほんとうに急ぎ足でしたが、説明させていただきました。

これまでのことを簡単にまとめてみると…


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普段の生活の中で使う電気・電子製品が意図しない動きになったり、雑音を出す



製品そのものの不具合もあるが、他の電気・電子機器が発するノイズの影響であることが多い



ノイズに影響されにくい、ノイズを出しにくい製品にすることが重要



ノイズの影響がゼロ、ノイズの放出がゼロという製品を作ることはまず不可能



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製品毎や使われる環境によって基準を設けて、それに合致する製品を作る



EMC規格の制定はIECやCISPRといった国際委員会で作られ、各国でこれを参照し国内規格を制定



EMC規格には、放出されるノイズの大きさを測る「エミッション」とノイズの耐性を試験する「イミュニティ」がある



「エミッション」、「イミュニティ」の中には、更に細分化された測定、試験項目がある



合格(規格の要求に適合)するまで、対策を行っては試験をする、の繰り返し



晴れて合格したら、世の中に出荷される
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不可解な動作をする製品が少なくなる
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だいたいこんな内容になるのではないでしょうか。

本当は最後の部分、「少なくなる」ではなく、「なくなる」と書きたかったのですが、世の中そう甘くはありません。日々電子化が進む現代、EMCに対する要求は益々厳しくなり、それに合わせて規格の要求も厳しくなっていきます。そのため、対策に多くの時間を費やさねばならない現実の中、メーカーのエンジニア達は限られた期間の中で製品開発を進めなければならず、本当に大変だと思います。頭が下がります。
まだ日本の中でも法的な規制ではなくEMCという概念も一部の人達しか知らなかった頃、メーカー独自に評価していた頃は何もかも手探り状態でした。近年、規格も整備され、対策方法もある程度確立されては来ていますが、やはり最後はEMCエンジニアの経験や実績に頼らざるを得ない部分が多くあります。
従来のように設計が済んだ製品に対策を施すのは、多くの時間や費用がかかりますし、場合によっては「一」から設計やり直しなんてことになるかも知れません。
EMCに強い新製品を早いサイクルで世に送り出すためには、やはり最初の設計段階からEMCに対する対策を盛り込むことが必須となります。そんな中、EMCアドバイザ(関連記事:EMCアドバイザEMCアドバイザEX)などは強力な助っ人となってくれることでしょう。

いかがでしたでしょうか。
ノイズという目に見えない相手と戦うEMC、より良い生活を送るために重要な役割を担っています。今度、オフィスにあるコピーやPC、自宅の家電品など使うときに、ちょっとEMCの事を思い出していただけたら幸いです。
機会があればEMCの本を一読されるのもいいでしょう。

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8回に渡って書かせていただいたEMC測定の基礎、これで終了です。
長い間お付き合いいただきまして、ありがとうございました。






●マイクロウェーブファクトリー株式会社プロフィール
「We support your power」を合言葉に、電波に関する先端技術開発に携わるエンジニアの方を全面的にサポートし、ノウハウを生かした解決策を提供することを目指した「電波のトータルソリューションカンパニー」。
新横浜にある「図研 Technical Lab.」では、測定スタッフとしてお客様をサポート。

会社HP : http://www.mwf.co.jp/


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