EMC測定の基礎

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03


☑EMC測定の基礎

1.EMCって何?

マイクロウェーブファクトリー株式会社
2012.08.30


音で例えると、若い世代の方は知らないかも知れませんが、今ではCDなどに置き換わりほとんど目にすることの無くなった音楽メディアであるレコード。私を含めたある程度年配の方々はこれを再生するときに、盤面に付着したホコリや付いたキズで出るパチパチといった音(スクラッチノイズ)を「あのときに付けたキズの音なんだぁ」などと懐かしむこともあったり、重いディストーションで大音量なヘヴィメタル音楽を最高!と感じる人もいれば、単なるノイズと感じる人もいますよね。人によっては不快(ノイズ)と感じる音も、他の人はそうは感じないといったことがあります。

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電気信号も、製品によってはその信号が非常に重要な役割を持っている、例えばパソコンなどその心臓部となる演算装置を動作させるために必要なクロック信号も、別の製品では単なるノイズでしかないことが多々あります。
同じように、必要な情報を送ってくれるテレビやラジオの放送局、各種業務の無線通信、携帯電話やLANなどの情報端末、安全を守る航空レーダーなどで使う電波は必要不可欠なものですが、これらに使われている電波も場合(機器)によってはノイズになり得ることがあります。
元々ノイズと呼ばれるものは、必要ないものはもちろんですが、必要な信号も場合によってはノイズとなり得るということを知っておくことが重要です。
さて、電気的なノイズは電気を使って機能する製品(電気・電子機器)からは多かれ少なかれ必ず発生するものです。単に電線に電流が流れるだけでもノイズは発生しますし、スイッチやモーター、点火プラグなどから発生する放電ノイズもあります。また、これらは人工的なノイズになりますが、雷や静電気など自然現象で発生するノイズもあります。さらに、前述しましたように、通信に使う電波などの必要な信号もノイズとなる場合があり、これらを総じて電磁環境と呼んでいます。

冒頭の現象(製品の誤動作、情報の質が低下)はノイズの仕業であることは書きました。が、ここであれっ?と思いませんか。そう、多くの場合ノイズを出す電気・電子機器、は同時にノイズの影響を受ける立場でもあるのです。
今日、パソコンやスマートフォンなどの携帯端末、テレビ、ラジオなどのAV機器など私たちの身の回りは多くの電気・電子機器で溢れていますし、今後も技術の進歩により更に増えていくことでしょう。これら機器が多くのノイズを出し、そのノイズの影響を受けてしまったらどうなるでしょう?想像するだけでも恐ろしいですね。そこで、ノイズの発生を抑えるとともにノイズに対する耐力を上げることが極めて重要になってきます。

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このように製品が発生するノイズによって電磁環境を汚さない、また悪化した電磁環境の中でも影響を受けることなくその性能を充分に発揮することができる能力がEMCということになります。

全くノイズを発生しない、或いはノイズの影響を全く受けない製品ができれば言うことはありませんが、現実的には不可能であり、どうしても限界があります。そこで、発生するノイズレベルがどこまでならOKですよ、どのレベルまでの耐力があればOKですよと規定を設けて、その規定に合わせるような製品づくりがされています。
この規定となるのがEMC規格で、国で決められたもの、製品の業界団体で決められたものなど様々ですが、次回はこのEMC規格についてお話しようと思います。







●マイクロウェーブファクトリー株式会社プロフィール
「We support your power」を合言葉に、電波に関する先端技術開発に携わるエンジニアの方を全面的にサポートし、ノウハウを生かした解決策を提供することを目指した「電波のトータルソリューションカンパニー」。
新横浜にある「図研 Technical Lab.」では、測定スタッフとしてお客様をサポート。

会社HP : http://www.mwf.co.jp/


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