☑EMC測定の基礎
1.EMCって何?
マイクロウェーブファクトリー株式会社
2012.08.30
はじめまして。マイクロウェーブファクトリーの八田と申します。これから数回に分けて、「EMC測定」を行う上で知っていると便利な基礎知識についてお話していきたいと思います。
以前に比べれば比較的良く目にするようになってきた「EMC」という言葉ですが、まだまだ一般的には理解されていないのではないでしょうか。初回ではこのEMCとは何かを、2回目以降ではその規格や評価方法について説明させていただきたいと思います。
EMCって何?
最近ではEMCに関する書籍も多く発行されるようになり、目にされた方も多いのではないでしょうか。多くの場合その冒頭には、EMCとはElectromagnetic Compatibility 電磁環境両立性と説明されています。電磁環境って?両立って?なんだか難しいですね。
みなさんはこのような経験をしたことがありませんでしょうか?
- オフィスで資料をコピーしようと自分のデスクからコピー機の前へ行き、ボタンに触れたら「パチッ」と静電気。その直後コピー機が動かなくなってしまった。あれっ、間違った使い方していないのに~!?
- コンビニに立ち寄った際、入口のドアに立つ前にドアが開いたが、出入りする人は誰もいない!幽霊の仕業!?
- 好きなアーティストが出演しているテレビ番組を観ながら、掃除をしようとテレビの前で掃除機のスイッチを入れたら、画面に斑点のようなものが出て画面が乱れてしまった。チクショ~!
- お風呂上がりに髪を乾かそうとヘアードライヤーを使ったら、隣で音楽を聴いていた妹のオーディオスピーカーから「バリバリ」と大きな音が出て驚かせてしまった。ゴメン!
- 自動車運転中に、アクセルを踏み込んでいないのに急にスピードが上がりヒヤッ!とした。
- 工場のロボットが突然自分に向かって動きだし、怖い思いをした。
どれも不可解な現象ですね。
これらの現象は一部に過ぎませんがノイズの仕業であることが多く、特に事例⑤などでは最悪の場合とても大きな事故に繋がる可能性があります。
① 、②や⑤⑥は製品が本来の姿とは異なった動きする、正常な動作ではなくなる、つまり
誤動作してしまった例です。③、④は本来得られる情報に余計な不要物が入り込んでしまい、情報の質が落ちてしまった例です。
ここで出てくるノイズとは何でしょうか。EMCについて書かれた本を開くと必ず出てきますね。EMCとノイズは切っても切れない関係にあるのです。
ノイズという言葉を辞書で引いたりWeb検索すると、「必要となる情報以外の情報」「雑音」などと出てきます。ひとことにノイズと言ってもうるさい音や騒音といった「音」に関するものや、電気・電子機器の動作を妨げる信号といった「電気」に関するものなどがありますが、上述のような不可解な現象は、後者の電気的に発生したノイズが原因となり、電源線や電気信号線を伝わったり或いは電波となって空間を伝わって電気製品に入り込んで影響を及ぼしたものです。
ノイズがワルサをするのであれば、この世からノイズを排除してしまえば良い!確かにそうですが、なかなかそう簡単に片付けられないものなのです。どうしてでしょうか?