設計資産の活用編

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03


☑コストリダクションプログラム

2.設計資産の活用

2010.08.26

設計資産管理の課題①(共有フォルダ管理)

CADデータや設計成果物をサーバ上の特定共有フォルダに格納し管理しているケースでは、以下のような課題があります。

  • 共有フォルダ上の過去データへのアクセスはできるものの、各データの管理は個人で行っているため、どれが最新データかわからない。
  • 管理方法に明確なルールが存在しないため、担当者自身も最新データがわからなくなっている
  • 共有管理しているが、アクセス制御を行っていないため、仕掛り中のデータを担当者以外が誤って変更してしまう可能性がある


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上記のような環境では、誤った過去データや情報を利用してしまう危険があり、部品の誤発注や大きな設計手戻りを誘発してしまう可能性があります。これでは、「欲しい情報を簡単に入手できる環境」とは言い難いです。

設計資産管理の課題②(設計成果物の整合性管理)

PLMシステムを使って設計成果物を管理されているケースではどうでしょうか?「回路図」「基板図」「パーツリスト」を出図等決まったタイミングで格納しているお客様が多いかと思います。
しかし、資産として活用する上では以下のような課題があります。

  • データの整合性の確保が不十分
    • システム上の「回路図」「基板図」「パーツリスト」は、それぞれ“データ”でしかなく、データ内のオブジェクトを認識する事ができないため、「回路図」「基板図」「パーツリスト」の内容に差分があったとしても、それを抽出する事が出来ない。
    • (その結果、回路データを流用したいといった場合でも、流用する前に最新情報の確認が必要となる)

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  • システム自体が設計時にデータを活用することを目的としていない
    • PLMシステムでのデータ管理は、製品の企画・開発から生産・サービスといった製品に関わる関係者同士の連携を主目的としている事が多く、設計時に活用するための情報として管理されていない


設計資産を活用するためのシステム構築

では、設計資産を有効に活用するために求められる要件とは何でしょうか?ポイントは以下の二つになります。

  1. 設計時に活用する事を目的としたデータ管理の仕組み
  2. 設計時にデータ及び情報を容易に検索/参照/入手できる環境

<設計時に活用するためのデータ管理の仕組み>
設計者が設計時に活用したい情報は、状況により様々です。その時の設計者の参照したいという情報のキーワードから設計データを見つけ出さなければいけません。そのため、設計データはプロセスという時間軸と電気的特性という機能軸で管理されている必要があります。

例)設計のあるポイントにおいて、設計情報から設計判断を行いたい(設計者の思考例)

「2009年モデルのXシリーズとYシリーズで共通に使っていた○○機能のメインデバイス周りの回路を流用したい」
「2008年モデルの機種Aのメイン回路のEMC対策を見たい」
「先行しているZシリーズの仕掛り中の制御回路を参照したい」


具体的には次のようなデータ管理の仕組みが必要となります。 

  • 設計プロセスに応じた階層的データ管理
  • 電気的に意味を持つグループ単位(機能ブロック)での管理