ちょいモテ設計者への道

【第9回】EMC設計とは？　～一難去って、また一難～

2008.12.18

とてもタメになる話ばかりだったけど、昨日はキツかったなぁ･･･土田さんが事情を説明してフォローしてくれたから、多少は印象悪くならずに済んだけど･･･でも、もう少し早くフォローにはいってくれれば、あそこまで怒られずに済んだハズだよ、全く。･･･それにしても小輪井さんはなんであんなに元気なんだろ！？！？　お陰で今日も寝不足だ。。。

「おはようございま～っす･･･」
設計課のドアを開け、自分の席に向かう。
何だか今日は騒がしいなぁ？豪快に笑ってる人がいるし･･･
あれ？？誰か座ってる･･･しかも、かなり大柄な人だ。ま、まさか･･･！！

「おう！おはようさん。昨日は遅くまでご苦労やったなぁ、岡田君。」
「昨日はいろいろとご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありませんでした！！」

小輪井さんだ！眠気が一気に吹き飛んだ。

「実は昨日、言い忘れてたことがあったんや。ちょっと時間ええか？」
えっ!?!?　またですか･･･(汗

「そんなにビビらんでも、ええやろー。まぁ、コーヒーでも飲みながら。なっ。」
肩をガシっと掴まれた。もう逃げられない･･･

給湯室の中で一番大きなマグカップを取り出す小輪井さん。
あっ･･･このマグカップ、小輪井さんのだったんだ･･･
そして、その大きなマグカップにコーヒーをなみなみと注ぎ、スティックシュガーを1本、また1本とコーヒーにいれる。

「まずは昨日の反省点や。心して聞くように。
ひとーっつ！
標準書の確認：回路設計者としてやらなあかんチェックを怠るべからず！
ひとーっつ！
スキルの習得：もっと勉強せい！
ひとーっつ！
基板設計者との情報共有：基板屋さんへEMC設計に必要な情報を伝えるべし！
以上や。次回からは気をつけるように！」

そしてまた、スティックシュガーを入れる。

「まぁでも来年からは、うちと基板屋さんが図研のEMCアドバイザを導入する予定やから、基板のチェック工数が大幅に削減できるで～。」
「な、何ですか？そのEMCアドバイザって？？」

ピタっと小輪井さんの手が止まる。

「お前、知らんのか？あれがあったら便利やで～。
EMCアドバイザっちゅーのはなぁ～。そうやな～･･･昨日、私が岡田君にみっちりレクチャーしてあげた設計ポイントのチェック項目を自動でチェックしてくれるツールのことや。今まで目視で確認していたものを、自動でチェックしてくれるメチャクチャ便利なツールや。
今まで基板のEMCチェックに２日間くらいはかけとったやろ？。それがや、EMCアドバイザにチェックさせたら基板の条件にもよるけど、早いやつで数十秒、時間がかかるやつでも数十分でチェック完了やで～！」

「それは便利なツールですね！！」

「そうや！ちなみに早いだけやなくて、
① お前みたいにチェックミスはないし、
② 回路設計者がEMC設計に必要な情報を入力すると、お前と違って正確に基板設計者に伝達できるし、
③ 設計ルールも約４０ルール近く準備されてるとあって、お前と違って賢いんやぁ！！！！」

そんなにオレと比較しなくても･･･それに、もっと早く導入してくれれば、昨日みたいなことにならなくて済んだのに･･･とほほ。

「ちなみにEMCアドバイザが導入されれば、回路設計者と基板設計者の協調だけやなくて、EMCアドバイザを管理するCAD管理部門との協調も重要になってくる。この3者がしっかり連携すればするほど、品質の良いものが出来るっちゅーもんやねん。ちゅーことで、これからもよろしゅーな。自分の勝手な判断で物事進めたらあかんで～。」
「は、はい！」

そして、またスティックシュガーをどさっといれる。
「あっ！ちょっといれすぎじゃ･･･」

「あほ！この体を維持するにはこのくらいの糖分が必要なんじゃ。岡田、なんだか顔色悪いな～。ワシのスペシャルコーヒー飲むか？元気になるで～っ」

どんな元気の素ですか･･･糖尿病になりますよ･･･


　（次回へつづく）

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