EMC測定の基礎:EMC評価方法(エミッション)

印刷用表示 | テキストサイズ 小 | 中 | 大 |


clubZ_info_renewal.jpg

| HOME | EMC測定の基礎 | 3 | P2 |

更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03


☑EMC測定の基礎

3.EMC評価方法(エミッション)

マイクロウェーブファクトリー株式会社
2012.10.25


伝導エミッション
伝導エミッションと放射エミッション、ノイズが通る経路で測り方も変わってきますが、基本的な測り方はこの2つ。伝導エミッションは読んで字のごとく電線を伝わって(通って)きたノイズを測る方法です。電源線を通って出てくるノイズはLISN(電源インピーダンス安定化回路網)という装置を電源線の間に接続して測ります。この装置は電源の周波数成分(交流の50ヘルツや60ヘルツ)を阻止しながら測定したいノイズ成分を測定器に送り出す役目を果たしています。この装置は同時に製品の電線を家庭などのコンセントに挿したときと同じような特性(振る舞い)となるような回路が組み込まれています。
電源線に対して使われるLISNですが、同じ目的でLANなどの通信線に対してはISNという装置が使われます。

emc_121025_3.jpg

伝導エミッションの測定を行うときも製品とLISNやISNとのつなぎ方や置き方、測定を行う場所の条件などが細かく決められています。


放射エミッション
一方、放射エミッションは電波になって放たれたノイズをアンテナで捉えて測る方法です。前出の伝導エミッションはノイズが電線という目に見えるものを伝わるのでわかりやすいですが、電波となって空間に飛び出したノイズを測るのはなかなか難しいんです。製品のどの方向から強く放たれているかを把握するために、捉えるアンテナを上下させたり、製品をターンテーブルという回転台の上に載せてグルグル回したりします。その分、測定に費やす時間も大きくなることから、近年ではできるだけ広い周波数範囲で使えるアンテナを用いることで、交換回数を減らしたり、測定ソフトウェアを使って短時間で測定できるように工夫がされています。
また、この測定では電波を測ることになりますが、電波というのは壁などで反射する性質がある厄介者なのです。(材質によっては通り抜けたり吸収されたりもしますが)普通の試験室や実験室では電波の反射が起こり、実際に放出されたものと干渉が発生して正確に測ることができなくなります。このような状態を解決するために、電波の反射を起こさないような電波吸収体という材料を壁や天井に取り付けた電波暗室という部屋で測定が行われます。


emc_121025_4.jpg



放射エミッションも伝導エミッションと同様に、製品を置く測定テーブルの高さや、アンテナまでの距離、更には測定場となる電波暗室の特性などの条件も決められています。

国際規格ではCISPR16に、今回お話したような測定方法や試験配置の規定、使われる測定機器の特性や条件について既定されています。
今回はEMI(エミッション)測定についてお話させていただきましたが、次回はEMS(イミュニティ)試験について書いてみたいと思います。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。







●マイクロウェーブファクトリー株式会社プロフィール
「We support your power」を合言葉に、電波に関する先端技術開発に携わるエンジニアの方を全面的にサポートし、ノウハウを生かした解決策を提供することを目指した「電波のトータルソリューションカンパニー」。
新横浜にある「図研 Technical Lab.」では、測定スタッフとしてお客様をサポート。

会社HP : http://www.mwf.co.jp/


LinkIcon「図研 Technical Lab.」とは?

【今回の記事はいかがでしたか?】

大変参考になった
参考になった
あまり参考にならなかった
参考にならなかった

今回の記事について詳細なご説明をご希望の方は、Club-Z編集局(clubZ_info@zuken.co.jp)までご連絡下さい。