☑EMC測定の基礎
3.EMC評価方法(エミッション)
マイクロウェーブファクトリー株式会社
2012.10.25
みなさん、こんにちは。毎日、暑い暑いと言いながら過ごしていたのが嘘のようにすっかり秋の気配となり、キンモクセイのいい香りがする季節となりました。キンモクセイの香りには、穏やかなダイエット効果と心的ストレスを軽減させるリラックス効果があるようですね。
さて、前回まではEMCの基本的な部分について書かせていただきましたが、3回目を迎え、いよいよ具体的な測定や試験の方法についてお話していきましょう。
ただ、ひとつひとつの製品に対する規格(製品群規格)まで含めると星の数ほどになってしまいますので、ここでは、基本規格(EMCの基本となる規格で、測定や試験方法の多くはここで規定されています)に沿った内容でお話します。また、概要をできるだけ簡単に説明したいと思いますので、より詳しい内容が知りたいときは、専門書を開いていただくか、セミナなどに足を運んでいただければ幸いです。
前回までにEMC試験は、製品が出しているノイズの強さを測るEMI(エミッション)と、製品にノイズが飛び込んできても正しく機能しているかを試験するEMS(イミュニティ)から成り立っていることをご説明しましたが、まずはEMI(エミッション)についてお話しましょう。
EMI(エミッション)測定
ここではEMCの中で、製品が出すノイズの測り方についてお話したいと思います。1回目でお話しましたようにノイズが全く出ない製品ができれば言うことありませんが、これは夢物語で、多かれ少なかれ必ずノイズは出てきます。そのため、どのくらいの強さまでは大丈夫といった線引きが必要になります。これを規格で細かく規定しているのです。でも強さの線引きをしただけでは不十分です、どうしてでしょう?ラジオやテレビの近くでヘアードライヤーなどの電気製品を使ったときのことを思い浮かべてください。ドライヤーをONにするとラジオから雑音が出たり、テレビの画面が乱れたりしますが、ドライヤーの強弱を変えたり、遠ざけたりすると雑音や乱れの度合いが大きくなったり、小さくなったりしたという経験をされた方も多いのではないでしょうか?
そうです、ノイズを測りたい製品の設定や、製品までの距離などノイズの測り方も細かく規定しないと正しい判定ができません。本来ならば10という強さのノイズを出す製品も測り方によっては5になったり、20になったりしますので、測り方も規格で細かく規定されているのです。
さて、この厄介なノイズですが、製品の中から放出されるとき、様々な形で姿を現します。(と言っても目に見えるわけではありませんが)既に電波という形になって飛び出してくるもの、電源線を電流となって流れ出してくるもの、その流れ出た電流がケーブルをアンテナとして電波として姿を変え飛び出すものなど。このようにノイズが通る経路によってもいくつかの測り方が規定されているのです。