図研 from Z Vol.14
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Interview人達とか、それを供給できるような大きなインフラストラクチャーを作れる会社の人などです。そこで必要な材料はどんなものなのか、私たちみたいな化学者がニーズに合わせてモノづくりを進めるわけですが、カーボン材料はいろいろなものを生み出す可能性を秘めています。それを使って大きな水素社会を作れたら、工学研究者としては非常に面白い。独りよがりに自分勝手なものを作るのではなく、人様に使ってもらえるような社会を目指したいですね。あとは若い人たちが『カーボンなんてただのバーベキューの炭かと思っていたけど、こんなことができるんだ。材料というのは奥深い。それなら化学を勉強してみようかな』と思ってくれたら嬉しいことですね」最後にひとつ、尾崎教授はカーボンアロイ触媒に続いて、どのようなジャンルに視野を向けているのだろうか?「工学というのは人がより良く生きていくためにあるものです。今、私たちが生きていくのに何が必要かといったらエネルギーが必要ですよね。食べ物も必要。エネルギーと食べ物が満たされたら次は? 長生きしたいと思うじゃないですか。今、私がやってないところといったら食べ物と健康という分野です。そこにどういう風にカーボン材料が関われるかというのを、長期のテーマで考えていきたいと思っています。結局、私たちにできるのはカーボンの構造を変えること。カーボンの構造が変わることで、どう化学的な性質が変わるのかを調べる手立てを持っているわけです。どんな分野の、どんな状況で、どういった材料が求められているのかが明確になれば、どんどん具体的な話に進んでいけると思っています」群馬大学理工学研究院環境創生部門尾崎純一研究室http://jozaki-carbon-lab.dept.eng.gunma-u.ac.jp/~jozaki/index.html尾崎教授は、この先にどのような社会を思い描いているのだろうか?「エネルギーがどうなっていくのかはとても大きな話ですが、やはり分散型電源というのが重要になってくるのかもしれません。先の大震災のときもやはり大規模停電は避けられませんでした。多くの方が指摘しているように、大規模発電でなくても効率が下がらない燃料電池というのが、これから期待されているものかもしれません。定置式燃料電池が普及して各コミュニティーレベルで電源を確保し、さらにそれがネットワークで繋がっているイメージです。エココミュニティーの電源は安価に供給されないといけませんが、そういうところで我々の技術が重要になってくると思います。もちろんその時の水素の供給も忘れるわけにはいきません。水素吸蔵材料を使って運送を楽にして水素ステーションに運べるようにするのもいいし、もしかするとまた違う話になるかもしれない。また、水素の保管も重要な技術課題になります。例えば山間部であれば水素ステーションではなく、やはりガソリンだとなるかもしれません。エネルギーに関しては、メインとなるライフラインが途切れたとしても稼動できるシステムであるべきですが、そのときの水素の供給というのがまだ見えていません。しかし、ガソリンスタンドは全国津々浦々ありますから、そこはすぐには変わらないでしょう。一方、大都市圏などでは思っているよりも早く水素に移行するかもしれません。材料は我々が供給できるようにしていきたいですが、システム全体をどう考えていくかが重要になってくると思います。そこを受け持つのは、まずは大きな公共の立場にいる9from Z_Vol.14_2014

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