図研 from Z Vol.14
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ている技術だと考えています。課題としては燃料となる水素をいかにして取り出し、溜めるかなどがありますが、そこは社会インフラなどと含めて考えています。性能について言及するのは何を指標にするのかが非常に微妙で、難しい問題があります。分かりやすい表現としては、セルに組んだときにどのくらいの発電ワット数が出てくるのか、何ボルト出てくるのか、そしてどのくらいの電流が取れるのか、という話になると思いますが、そこは産業的な話になるでしょう。同じ触媒を使ったとしても、それを電極マテリアルとしてどのぐらい作り込んでいくのか、それこそモノづくりの世界の話なんです。この部分はパートナーである日清紡HDさんの領域で、私たちはもっと基礎的な部分を受け持っています」日清紡HDによると、カーボンアロイ触媒を使った燃料電池の性能は白金にはまだ及ばないものの着実に実用段階に近づきつつあるという。日清紡HDではカーボンアロイ触媒を使った燃料電池で走る模型電車の模擬実験も公開しているが、この燃料電池の出力は約10W。このサイズの燃料電池で携帯電話やスマートフォンの充電を賄うことも可能で、価格も白金の6分の1~10分の1くらいまで抑えることができる。独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構が出版しているNEDO燃料電池・水素技術開発のロードマップ2010によると、自動車に搭載される燃料電池のシステム出力を約100kWとした場合、現状技術ベースで量産効果(年間50万台)を見込んだときのシステムコストは約100万円と言われているが、システム全体のコストのうち、現状技術ベースではスタック※2が約60%、その中で電極触媒のコストが半分以上を占めている。現状の触媒における白金使用量は0.5~1.0g/kWとなっており、これがコスト高の大きな要因と言われている。目前に迫った燃料電池の実用と普及。「炭素を使う低炭素社会の実現」を目指してきた生のときみたいに『論文を書けるように進めなさいよ』、『この測定はどうなった?』という感じで返していますが、共同で研究を進めるのに彼女の存在は大きいかもしれません」目前に迫った実用化に向けて、大学と企業という両輪で開発が進められているカーボンアロイ触媒。希少金属である白金にとって代わる“夢の新素材”の開発は、現在どの程度まで進んでいるのか?「白金というのは非常に限られた物質です。しかもほとんどが南アフリカ、ロシアでしか産出されず、海外に頼らなければ手に入らない。でもカーボンであれば、極端な話をすれば原料はその辺に生えている木でも構わないですし、国内にあるようなプラスチックを使っても良いわけです。窒素と鉄とカーボン、これさえあればできる。エネルギー問題は時には政治的な絡みまで出てくることがありますが、そういう意味で燃料電池は、資源に恵まれていない日本にこそ向いカーボンアロイ触媒が燃料電池の起爆剤に炭素(カーボン)が実現する水素社会の未来像※2 水素と酸素を反応させて電気を発生させる燃料電池車の心臓部。8from Z_Vol.14_2014

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