図研 from Z Vol.14
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ちなみに製造業と他の業種とで、情報システムの災害対策に求められる要件に大きな違いがあるわけではない。しかし、製造業のITに特有の事情として、重要度の高いファイルデータが多く存在する点はあらかじめ考慮しておく必要があるだろう。財務会計や在庫管理、受発注、生産管理といった、情報システム部門の目が普段から行き届きやすい基幹システムのデータとは異なり、研究開発部門や設計部門で日々生成される研究データや設計ドキュメントなどのファイルデータは、部門内で独自に管理されていることが多い。それも、PDMのような本格的な仕組みできちんと管理されているとは限らず、中にはファイルサーバさえもなく、各人のPCでデータを管理していることもある。BCP策定の際には、こうした現場のデータ管理の実情まで漏れなく可視化した上で、ファイルデータの適切なバックアップ・復旧手順を確立しておく必要がある。特に、ITに十分な予算や人的リソースを割く余裕のない中堅・中小規模のモノづくり企業では、データバックアップや災害対策の取り組みはまだまだ遅れており、有事の際に重要なファイルデータを消失するリスクが極めて高い。しかし近年になり、サーバ仮想化やクラウドといった新しいテクノロジーを活用することで、比較的高いRPO/RTOを低コストで実現できるソリューションが出てきており、中堅・中小企業のためのコストパフォーマンスの高い災害対策として注目を集めている。例えば、これまでの災害対策の技術では、予備システムは基本的に本番システムと同等の構成を取る必要があったが、サーバ仮想化技術を使うことで本番システムより規模をかなり小さく抑えることができるようになった。また、自前でデータセンターを借りるのではなく、クラウド環境上に予備システムを構築できるサービスも出てきており、これを使えば予備システム用に機器を新規に購入する必要が一切ないため、より投資額を低く抑えることができる。こうした新たなソリューションは、まだここ1、2年の間で出てきたばかりのものが多く、その実効性には未知数の部分もあるが、これまでコストや人手がネックとなって情報システムの災害対策に手を付けられなかった企業にとっては、十分に検討してみる価値があると言えそうだ。~DRについてあらためて考える~4仮想化やクラウドを使った安価な災害対策ソリューションの登場災害に備えてITができること・やるべきこと特集13from Z_Vol.14_2014

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