図研 from Z Vol.14
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2011年10月に発生したタイ洪水では、多くの日本企業の現地工場が被害を受けたが、その際にあらためてクローズアップされたのが「DR(Disaster Recovery:災害復旧)」の重要性だ。DRとは、災害による被害からの回復措置、あるいは被害を最小限に抑えるための予防措置全般のことを指す。その重要性は、これまでも新潟県中越地震や東日本大震災など、大きな自然災害が起こるたびに叫ばれてきたが、実際にはその教訓が生かされているとは言いがたく、災害のたびに多くの企業が被害を出し続けている。中でも、近年特に問題視されるようになってきたのが、情報システムの災害対策だ。工場や店舗、事務所、生産設備といった目に見えるモノとは異なり、情報システムは普段目に触れる機会がなく、その実体を把握しにくいだけに、その災害対策というのはなかなか具体的にイメージしにくい面がある。しかし、今日の経営やモノづくりは情報システムに大きく依存しており、その停止は即座にビジネス全体の機能不全に直結する。事実、東日本大震災では幾つかの自治体でシステムデータが消失してしまい、その後の復興の足を引っ張っていると聞く。これがもしモノ作り企業であれば、貴重な設計データや研究開発データが一夜にして消失してしまう事態に相当する。もしそんなことになれば、たとえ設備や人員が災害をくぐり抜けられたとしても、その後の事業継続は極めて困難だと言わざるを得ない。では、こうした事態を未然に防ぐには、どのような施策を打っておけばいいのだろうか? ごく簡単に言ってしまえば、災害に備えて「予備のシステム」をあらかじめ用意しておけばいい。しかし、これは「言うは易し、行うは難し」で、実際に行うとなるとさまざまな課題が立ちはだかる。例えば、予備のシステムを置いておく地理的な場所。単に機器の故障に備えるだけであれば、同じデータセンター内に予備機器を設置して、いざというときにそちらに切り替えてやればいい。しかし、これが広域災害に備えるとなると、そう簡単にはいかない。被災によってデータセンター全体が機能不全に陥ることを想定すれば、地理的に離れた別のデータセンターに予備システムを置いておく必要がある。さらに近年では、東日本大震災後の電力供給危機の教訓から、異なる電力会社の管轄にデータセンターの立地を分散させる傾向もある。また、予備のシステムがいざ有事の際にきちんと機能するためには、本番システムのデータを遠隔地にある予備システムに確実に移行・反映させておく必要がある。これには幾つかの方法があるが、後に説明するようにそれぞれ一長一短があり、適切な方式を選んでおかないと後々後悔することになりかねない。災害に備えてITができること・やるべきこと~DRについてあらためて考える~特集1情報システムの災害対策についてあらためて考えてみる10from Z_Vol.14_2014

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