fromz_vol11
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8from Z_Vol.11_2012マニピュレータの動きをすべて微分方程式で解き明かす『アダプティブ・コントロール(適応制御)』という、本来ならドクタークラスの最先端のテーマを学部卒論に選んだんです。寝ずに頑張ったら帯状疱疹になって卒論の提出の直前は、研究室出入り禁止になりました。結局、夜、こっそり研究室に出入りして何とか仕上げましたけど(笑)」その後、大学院に進んだ古田氏は、“思惑どおり”助手になる。新しいことを割と自由にやるためには、助手というポジションは良かった。院生も取り込める。古田氏はヒューマノイドロボットを研究しようと思っていた。ヒューマノイドそのものにはそれほど興味はなかった。「ロボットというと人型を思い起こしますが、ロボットはあくまで機能。僕が人型をやったのは、いろいろな技術要素が詰まっているから。それを脚椅子に応用するためなんです」だが、当時ヒューマノイドロボットは、未知の技術領域だったので、院生に声をかけても『研究成果が見えないことは論文にできない』と協力してもらえない。それではと、下の世代の学部生をスカウトする。「『何が作りたい?』『ガンダム?』。じゃ、作ろう、全部教えてやるからって。持っている知識経験を全部教えました。泊まり込みの合宿を繰り返して」最初は「できない」「無理」のオンパレードだったが、知識が貯まり、自信がつくとそれぞれ得意なものが見えていった。「1+1が3になることが初めてわかったんです」そして、見事学会で初めてヒューマノイドロボットを歩かせることに成功する。「嬉しかったですね。同時に自分に何が足りなかったかわかった。人なんです。人は、深く付き合っていくと、自分と違う発想をするんだとわかる。そういう環境ができてくると、どんどんアイデアが出てくるんです」fuRoでの採用基準は、基本的にキャラ(人柄)採用だ。「自分に何が欠けて、何が得意なのかわかっている人。どうすれば良くなるかを知っていて、チームワークを大切にして、技術を囲い込みしない人。そういう基本的な考え方があっている人。知識や技術が優れているからではないんです。なぜか? 人の発想ってほとんど学べないんですよ。だから人柄を尊重するんです」お互いが信頼していれば、「周りからダメ出しされても、痛くも痒くもない。ここでは皆友達。僕を、所長とすら思っていませんよ(笑)」古田氏自身、ダメ出しで救われたことが何度もある。二足歩行ロボットを開発中、あらゆる制御理論を駆使しても行き詰まってしまった古田氏に、“教え子”がダメ出しをした。「古田さんのやり方はダメだと思う。人はなぜ倒れないかわかりますか? 倒れる方向に倒れるから倒れないんです。倒れ続ければ一生倒れないんですよ。ハッとしました。名言だと思いましたね」この名言が、後の世界初のサッカーロボット、バク転ロボットの開発に結実していく。fuRoではとにかく「ダメ出し」を称えるのだ。「そもそも技術者は自分が作った作品に愛を抱いてはいけません。愛してしまうと欠点がわからなくなる。その欠点を指摘してくれるのが、他人なんです。だから褒めてくれCBRN※災害の際に、消防隊の隊員に代わって現場に進入して状況操作を行う「Quince(クインス)」。特に閉鎖空間での作業の有効性に期待が高まる。※化学(Chemical)、生物(Biological)、放射性物質(Radiological)、核(Nuclear)、爆発物(Explosive)知識や技術は学べる。でも発想法はなかなか学べない。だから人を尊重する「ダメ出し」が技術者を育てるInterview

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