fromz_vol11
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6from Z_Vol.11_2012 だがその本質を問う“癖”がアダとなり、日本に戻ってからは落ちこぼれた。インドは“人と違うこと”に価値を認める文化を持つ。だが日本では“人と同じこと”の価値を重視する。まず朝礼での「前へ倣え」「右向け右」の意味すら理解できなかったのだ。「日本に戻ってから試験で20点以上取ったことがない。とくに理科は苦手でした。『モンシロチョウは春夏秋冬いつ飛ぶか』という問いには『オールシーズン』と答えました。だってインドではそうだから。忘れもしないのは小学4年生の時の宿題です。“石は水に沈みます、スポンジは浮きます。その理由を1週間で考えてきてください”と出題されました。普通は“石は重いから、スポンジは軽いから”と考える。でも僕は『本質はそんなことじゃないよなぁ。何か特殊な物質があって、それが石にあるから重くなるのでは?』と考えたわけです。重力の方式や法則を調べたりしたけど、わからない。実は僕が探していたのは、最近わかったヒッグス粒子。そりゃ、小学生にはわからないはずですよ(笑)。案の定、答えられなかったのは僕だけ。すると先生が『分からない古田くんは嘘つきです』と廊下で立たされた。ショックでした。聞き耳を立てて答えを聞いたら『石は水より重いからです』。『そんなの知っとるわー!』。もう二度と理科なんかやるものかと思いましたね(笑)」古田少年は思った。「日本では、物事を深く考えてはいけない。先生が望む答えを出すことが『本質』なんだ。周囲と同じことをするのが正しいのだ」と。だが、ロボット工学者となった現在、古田氏は「周りと同じことをしていては、技術者は絶対ダメだ」と、ことあるごとにfuRoの研究員に説いているという。「人と同じことをやっていては、人と同じことしか生まれない。それは君が本当にやるべきことなのか。君じゃなくてもできるんじゃないか」と繰り返し説く。話を元に戻そう。理科嫌いになった古田少年。だが世界制覇の夢は捨ててはいなかった。「小学生の頃はレゴ・ブロックでロボットを作ったり、プラモデルを組み立てたりしていました。完成形をイメージして、そこから逆算するという、その時のイメージトレーニングが今に役立っていますね。でも、のめり込むとまた和尚様の声が聞こえるのです。『それが本質なのか』と。プラモデルを作ってもそれはメーカのもの。『お前がやりたいのは自分のスーパーロボットを作って、世界制覇ではないか』と」その後古田少年は、図書館に通い出す。JIS規格のさまざまな設計図の本を借りては読みふけった。スーパーロボットを自分で設計図から作るために。「最初は分からなかったけど、見よう見まねで。アクリルなどの材料を買い込んで、切ったり削ったりしながら、朝から晩まで何十体も作りました。世界制覇のための修行なんだと思っていたから、楽しかったですね」本質を問う思考法がアダとなって、理科嫌いに小学時代にJISの設計図を読み込み、オリジナルロボットを実作Interviewインドで過ごした幼少時代のワンシーン。

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