fromz_vol11
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5from Z_Vol.11_2012数々の伝説を持つ人である。たとえばロボット製作に没頭すると、ほとんど眠らない。1ヵ月で10時間しか眠らないこともある。一時90kgもあった体重は45kgに減った。気付くと近視が治っていたという。「以前は眼鏡を掛けていたんですが、視力が0.3から2.0に回復して、掛けなくてもよくなったんですよ。眼科の先生は『なぜかはわからない』と言っていましたけどね」もちろん伝説の多くはロボットで作られている。文部科学省の科学技術振興機構に在籍していた1998年、ロボット開発グループリーダーとして、世界初の人工知能を搭載した、サッカーやバク転をするヒューマノイドロボット「morph2(モルフ)」を開発、業界内外の注目を集めた。2003年、fuRo所長に就任すると、坂道や段差を乗り越え水平走行する8足の脚を持つ車両型ロボット「Hallucigenia 01(ハルキゲニア)」を開発し、世界を驚かせた。さらに07年には昆虫モード、動物モード、車両モードの3つのモードを持つ「Halluc Ⅱ(ハルク)」を開発。12.5cmまでの段差を乗り越えることができ、最大40度の坂道を登る。横歩きや旋回も可能、前脚部でモノをつかむこともできる。「ハルクⅡ」を操縦する専用コックピット「Hull(ハル)」も開発した。アニメやSF映画の描く世界そのままに、あるいはそれすらも超越したロボットの未来を軽やかに具現化して見せる。 「3歳の頃にはロボット博士になると決めていましたね。ロボットを作って世界制覇をしようと思ったんです。それは今でも変わっていませんよ(笑)。最初は『鉄腕アトム』に憧れました。2歳の後半から7歳までインドにいたのですが、インドに行く直前までテレビの鉄腕アトムを見ていて、そこで記憶は遮断されているんです。アトムの凄さだけが、どんどん頭の中で増幅していきました。でも、ある時、思ったんです。待てよ、本当に凄いのはアトムを作った天馬博士じゃないかって」気付きを与えてくれたのは、インドで出会った日本人僧侶、藤井日達さんだった。「藤井さんのところに行くと必ずバナナとかお菓子をくれるんです。だから餌付けされた猿みたいに毎日行くわけです(笑)。そこで正座させられて、『本質とは何かを見ましょう』と毎日問答される。そんなことをしているうちに、こう言われました。『君が欲しいのは、アトムじゃくて、ロボットの知識や技術、ロボットの博士になりたいんじゃないかな』。『あっ、そうだ!』と……」以来、すべての関心はロボット博士に向けられる。憧れたのは天馬博士だけでない。漫画『Dr.スランプ』の則巻千兵衛や『宇宙戦艦ヤマト』の真田船長など、ロボットや超メカの創造者。一番尊敬しているのは『タイムボカン』のマッドサイエンティスト、コスイネンだという。同時に、何かコトに向かう前に『本質とは何か』と問う思考法が身に付いていった。大型ロボット脚部のプロトタイプ1号機「core(コア)」。全長1.9m、体重230kg。二足歩行ロボットとしては世界最大級の100kgの可搬重量性能を有する。アニメや映画の世界を軽やかに超える、世界的ロボットクリエーター目指すは、ロボットでの“世界制覇”「morph3(モルフ)」は科学技術振興機構ERATO北野共生システムプロジェクトと工業デザイナーの山中俊治氏が共同開発したロボット。

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