fromz_vol11
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半導体技術者/社会科学者湯之上博士の半導体の世界にパラダイムシフトが起きようとしている。2013年以降、TSVを用いた3次元LSIが登場し、これがムーアの法則を牽引することになるからだ。このパラダイムシフトに伴う新たな問題も明らかになってきた図4。これまでは、Qualcomm、TI、nVIDIAなどのファブレスがプロセッサを設計し、TSMC、GLOBALFOUNDRIES、UMCなどのファンドリーが前工程(シリコンウエハ上へのチップを製造)を行い、ASE、Amkor、STATChip PAC、SPILなどのアッセンブリ―メーカーが後工程(パッケージング、実装、組立)を行っていた。しかし、今後ファブレスは最初から(プロセッサ+DRAM)で構成される3次元LSIを設計しなくてはならない。これまでの設計ツールで可能なのだろうか? また、前工程と後工程の間に、突如、中間工程(ミドルエンド)が出現した。ミドルエンドでは、1,200TSVが形成されたプロセッサとDRAMを3次元に積層し、TSVを銅で埋め込み、3次元化されたLSIの動作を検証しなくてはならない(3次元に積んでみるまで動作検証ができない)。これは一体誰が行うのか? 誰が3次元LSIの品質を保証するのか?さらに、後工程では、3次元LSIに最適な基板やパッケージを設計し製造しアッセンブリしなければならない。これは従来の基板設計ツールで可能なのだろうか?つまり、3次元LSI用設計ツール、ミドルエンド工程、そして3次元LSI用基板設計ツールが必要になった。私は、これら3次元化を制した者が次世代の覇者になると考えている。2012年、日本半導体と電機産業は大崩壊してしまった。日本唯一のDRAMメーカー・エルピーダは倒産した。日本最大の半導体メーカールネサスエレクトロニクスは1,000憶円の融資により倒産一歩手前で踏みとどまったものの、危機は今後も続く。ソニー、シャープ、パナソニックは3社合計で1憶8千億円もの赤字を計上し、いずれも社長が交代、お家芸だったテレビ事業を縮小し、大規模なリストラを行っている。これから半導体産業に起こる3次元化のパラダイムシフトは、日本半導体および電機産業が起死回生の復活を遂げるための絶好のチャンスである。幸運の女神は後ろ髪を引かない。日本が、3次元化のパラダイムシフトという幸運の女神を掴むのは、今しかない。3次元化を制する者が次世代の覇者になる湯之上 隆ゆのがみ・たかし1961年生まれ。1987年、京都大学大学院(修士課程原子核工学専攻)を卒業後、日立製作所に入社。16年間にわたり、半導体の微細加工技術開発に従事する。2000年に京都大学より、工学博士。2011年に微細加工研究所設立、所長を務める。http://yunogami.net/ProfileTSVによる3次元化により発生した問題図4出所:出所:傳田精一『TSV実装技術の最近の動向』、エレクトロニクス実装技術研究会、2012年7月23日の資料を基に筆者作成3次元LSIを設計できるのか?ミドルエンドを誰が行うのか?3次元基板を誰がどうやって設計するか?▪Before TSV▪After TSVプレーヤー工程種類プレーヤー工程種類設計ウエハプロセス(フロントエンド行程)パッケージング・組立(バックエンド工程)ファブレス(Qualcomm, TI, nVIDIA)ファンドリー(TSMC, GF, UMC)アッセンブリーメーカー(ASE, Amkor, STATChip PAC)設計ウエハプロセス(フロントエンド)三次元化(ミドルエンド)パッケージング(バックエンド)ファブレスファンドリーWho?アッセンブリーメーカー18from Z_Vol.11_2012

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