fromz_vol11
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すると、微細化がスローダウンし(EUVが完成しなければ)やがて止まることになる。40年以上続いてきたムーアの法則が終焉を迎えるのだろうか?昨年末からこのような視点で半導体業界を観察してきたが、微細化とは別の技術を使って今後もムーアの法則が続くことが明らかになった。その背景にはスマホの爆発的普及がある。総務省が出版した『平成24年度版 情報通信白書』によれば、2011年に世界携帯電話販売に占めるスマホの割合は26.6%だったが、2015年には51.8%になる。その台数は何と11億台/年を超える図2。この間、スマホメーカーは、さらなる高機能化を目指している。スマホメーカーは、EUVが開発されるまで高機能化を諦めるような悠長なことはしない。例え微細化が止まろうとも、スマホ用プロセッサやメモリに対しては、激しい高機能化を要求し続ける。しかもチップサイズや容積を大きくすることは一切認めない。しかしEUV開発の遅延により2次元的にトランジスタを微細化して集積化することは困難になった。そこで半導体業界は3次元的に高集積化する道を選択したのである。国際的な半導体の規格団体JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)が、2013~2014年に量産されるスマホ用プロセッサやDRAMに、シリコン貫通穴(Through-Silicon Via、TSV)を用いた3次元LSIを適用すると決定した図3。スマホ用3次元LSIに使われるプロセッサとDRAMには、50μmピッチで半径10μmの1,200個のTSVが形成される。つまり、「スマホ用LSIの第一優先事項は、まず穴あけ(TSV形成)であり、プロセッサやDRAMの一丁目一番地に、TSV用の穴をあける」ことになった。TSVという1,200個の穴が開いたプロセッサとDRAMを積層し、TSVを銅で埋め込む。高集積化は3次元化により実現する。また、密着したプロセッサとDRAMを1,200個のTSV配線で直結することにより、高速化と低消費電力化も達成できるという。来年以降の新型スマホは、電池の持ちが今より格段に良くなるはずだ。したがって半導体の微細化は止まっても、3次元化によりムーアの法則は続く。そしてスマホはさらに高機能になり、電池寿命も延びる。この3次元化技術は、2015年以降には高性能PCをはじめ様々なデジタル家電へ適用されるだろう。スマホ用3次元プロセッサがムーアの法則を牽引する※ ITRS; International Technology Roadmap for Semiconductors、半導体技術の国際ロードマップ。“Intel Technology Roadmap for Semiconductor”と揶揄されることもある。0500100015002000250005001000150020002500201126.6%34.4%41.3%47.3%51.8%55.9%20122013201420152016世界携帯電話販売台数(百万台)スマホそれ以外世界の携帯電話販売に占めるスマホの割合TSVを用いたスマホ用3次元半導体JEDECで標準化SDRAM 200MHz x 512, 12.8GB/SJEDEC標準化,2013年にスマホ向けTSVDRAMプロセッサ出所:傳田精一『TSV実装技術の最近の動向』、エレクトロニクス実装技術研究会、2012年7月23日出所:総務省『平成24年度版 情報通信白書』、図表2-2-1-1図2図317from Z_Vol.11_2012

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